【AIGATE 竹尾社長が専門家と語り合う〈ECの未来〉】第3回〈w2ソリューション 山田大樹代表取締役CEO【後編】〉/本質的な”商品””サービス”に集中すべき

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竹尾昌大社長(左)/山田大樹CEO(右)

竹尾昌大社長(左)/山田大樹CEO(右)

 通販企業のコンサルティングやM&A仲介を行うAIGATE(アイガテ、本社東京都)の竹尾昌大社長が、各分野のスペシャリストと”ECの未来”を語る連載企画。第2回のゲストはECソリューションを提供するw2ソリューション(本社東京都)の山田大樹CEO。w2ソリューションはアパレル企業などに多く提供している総合EC企業向けのECサイト構築サービス「w2Commerce(ダブルツーコマース)」だけでなく、健康美容系のEC企業向けのサイト構築サービス「リピートPLUS」を提供している。リピートECの支援実績が豊富な竹尾社長と山田CEOに、リピートEC企業が成長を継続するために必要なポイントを聞いた。

 ■山田 当社でも支援実績が多いアパレル企業ではアウトソーシングが一般的です。ブランドは商品開発に注力しており、EC事業は外部パートナーに任せるケースが多いです。ブランドに誇りを思っていて、そこを高めるための商品に力を入れていきたいという考えが強いのだと思います。健康美容系のリピートEC企業ですと、商品よりもマーケティングへの意識が強いと感じます。
 ■竹尾 確かにそうですね。コミュニケーション商売になっているので、商品開発ではとりあえず訴求ポイントを出せればいいと考えている事業者は多い気がします。この商品が売れなくなったら次の商品を作ればいいやという考えもあるのだと思います。アフィリエイターに受け入れられそうな単価感で原価を下げて作ろうという話をよく聞きます。


グレーな企業は淘汰

 ■山田 もちろんアパレル、健康美容のどちらが良いという話ではなく、それぞれ特性が違うと捉えています。リピートEC企業のトップの方は数字に強い方が多く、論理的に経営判断されていて素晴らしいと思います。ただ数字で捉えにくい、組織的な部分や、長期的にブランドをどうしていくかなど、本来重要なポイントを軽視してしまっていると感じます。
 ■竹尾 これまではマーケティングをうまく回せば売り上げが伸ばせましたが、広告のレギュレーションが厳しくなってきていて、リピートEC企業は困っています。私はこうした流れは必然的な部分があり、商売の本質に近づいていくと考えています。サービスの価値を上げるのか、商品自身の価値を上げるのか、いずれかの方法で顧客に選ばれなければ生き残ることができないでしょう。グレーゾーンで広告を運用して売り上げを上げているEC企業の多くは、淘汰されてしまうと思います。


商品の質が生命線

 ■山田 やはり鍵は商品開発だと思います。成長している会社は、商品の柱を何本か持っており、新商品が出るたびに、商品のクオリティーが高まっている印象があります。
 最初はどうしても商品をヒットさせる必要があります。ただ、そのヒットした後が問題で、どこに投資していくかで変わります。年商100億円を超える会社は、ブランドアイデンティティーを明確化し、商品の質を向上し、顧客のファン化を進めています。
 ■竹尾 逆に成長が止まる会社は、どんどん商品のコストを落とし、クオリティーが下がっていく。お客さまも商品や成分について詳しくなっていくので、商品やサービスのレベルが上がらないと見捨てられる。
 ■山田 当社では健康美容系のEC事業者の数字や機能に対する要望に応えられるように、東京や福岡、台湾、ベトナムに開発拠点を設けています。スタッフも150人おり、幅広いニーズに素早く対応できる体制を整えています。一方でアパレル企業の皆さんには、ブランドをどう育てていくか、そのためのシステムのあるべき姿や使い方を提案しています。単にベンダーとクライアントという関係ではなく、ビジネスに寄り添うパートナーとして、今後も顧客企業と歩めればと思います。   
                                            (おわり)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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