【Amazon出品〈気になるトピックを徹底解説!〉】第14回 問われるブランド力

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■セラーへの移行

 先日、米アマゾンが、一部ベンダー(商品供給元)への発注書の発行を停止したというニュースがありました。大手ブランドを除く中小事業者に対して、「ブランド登録をしなければ、セラー(出品者)に移行してもらう」旨の案内を送付したという内容でした。
 この米アマゾンの動きは、日本のベンダーやセラー事業者も注視しておかなければなりません。国内でも、事業者が商品登録をしてアマゾンで直接商品を販売できるサービス「ベンダーエクスプレス」が昨年末で終了しました。アマゾンは、確実にセラーに注力する方向に向かっており、いずれ日本でも米国と同じことが起こり得るからです。
 今回、米アマゾンが一部ベンダーへの発注書の発行を停止した理由はいくつか考えられます。
 一つは、ブランド登録を推奨したいためです。アマゾンでは現在、多くのブランド模倣品が流通しており、これらを排除しようとしているとみられます。
 次にコスト削減です。ベンダーの場合、アマゾンが商品を買いとり、在庫を保管します。アマゾン側に発生する、購入・保管コストを削減したいという狙いがあるでしょう。
 手数料収入の獲得も、要因として挙げられます。FBAを利用するセラーであれば、商品が売れなくてもアマゾンは在庫保管手数料を徴収できます。広告や販売手数料などその他の手数料収入も期待できます。
 リソースの効率化も狙いの一つでしょう。セルフサービスのセラーとは異なり、ベンダーは、アマゾン担当者が基本的に付いています。セラーに移行させて、担当者のリソースを効率化したい狙いもあるのだと思います。
 アマゾンはこうした理由から、売れる商品を供給する大手ブランドとのベンダー契約は継続しつつ、ブランド力のない事業者は、ベンダーからセラーに移行させたいと考えているのです。


■セラー間の競争激化
(続きは、「日本ネット経済新聞」5月9日号で)

〈プロフィール〉
 比良益章(ひら・ますあき)
 2006年楽天入社、ECコンサルタント、マーケティング担当などを経験。2009年アマゾンジャパン入社、新規開拓営業、コンサルタント業務に従事し、5期連続でトップ成績を獲得。2010年アグザルファ設立、代表取締役に就任し、Amazon専門のコンサルティングを展開。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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