07年、「イレブンエーエム」を立ち上げた林・ヨジンCEOは、同ブランドを韓国レディースアパレルの中でトップクラスのブランドに成長させました。10年以上、自社EC運営に取り組んだ結果、会員数20万人、林CEOや人気モデルのアカウントを含むSNSフォロワー40万人を確保しました。
■忙しい女性に対応
「イレブンエーエム」は、起業当初から女性をターゲットに、普段着として着用しやすい商品カテゴリーで、トレンドを反映した多彩なスタイルを提案しています。特に、コーディネートに悩む女性に向け「オフィスルック」「パーティールック」「ハネムーンコーデ」などのページを作成、さまざまな場面に合わせたスタイルの提案が評判となっています。
これにより、特定の年齢層にとどまらず、学生、主婦、会社員などさまざまな顧客層を確保しながらリピーターを育て、増やしてきたといいます。
「忙しい日常生活の中で、いろんなお店を巡りながら買い物をすることは手間がかかる。当社はこのようにコーディネートに悩む女性のニーズに対応することを第一に考え、商品開発に取り組んでいる」(林CEO)と説明しています。
■4カ国のEC構築
起業当初「イレブンエーエム」は、アパレル企業の立場から考えたスタイルや商品を提示していましたが、10年からは、顧客ニーズを反映したスタイル提案に注力しています。
看板モデルとしても活動している林CEOは、素材、フィット感、着用感などを踏まえた新たなコンセプトを提示することにより競争力の強化を図っています。このような取り組みで、顧客ニーズに答えるとともに顧客とのコミュニケーションにも効果的に対応しています。
■アジアに積極展開
14年からは、自社EC運営で培ったノウハウに基づき、越境EC事業も積極的に展開しています。グローバルECプラットフォーム「cafe24」を利用し、英語、中国語(簡体字・繁体字)、日本語のサイトを構築。特にアジア市場に向けて活発な展開を行っています。
林CEOは、越境ECサイトを活用することにより、アパレルなどの消費財もネットで購入する海外消費者に、効果的に対応することが可能になると説明しています。実際、グローバルECの活性化に伴い、越境ECサイトにアクセスする消費者は商品を注意深く確認しています。そのため、同社はスタイル提案の差別化に力を入れています。
現在は、ファッショントレンドが類似な日本市場が海外売り上げの50%を占めていますが、アジアの訪問者も増加する傾向だそうです。また、越境ECサイトで商品を確認し、ソウル店舗を訪れる観光客も増えつつあるので今後の売り上げ増加も期待されています。
〈執筆者略歴〉
cafe24 マーケティング戦略研究所 イ・シファン所長
最近のEC市場において大きな話題となっている、「越境EC」についてさまざまな経験やノウハウを蓄積している。記事の寄稿やセミナー講義、関連著書出版なども多数。日本や中華圏、英語圏市場進出を検討する企業に向けてマーケティング戦略、ビッグデータツール活用、ブランド戦略、CRM設計など専門的なコンサルティングを行っている。
【「cafe24」が教える〈韓国発 越境EC成功事例〉】第3回〈レディースアパレル通販「イレブンエーエム」〉 SNSフォロワー40万人確保し、越境EC展開
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