中国の現地で見たビッグセール「独身の日(以下W11)」の、日本からは見えない実態をレポートする。
中国のBtoC―ECモールの2強である、アリババグループの「天猫(Tモール)」とテンセントグループの「京東(JD.com)」が、W11をけん引しているのは、周知の事実だ。17年のW11の売上額はこの2社で5兆円を超えた(商品の注文件数は15億件以上)。日本のアマゾンと楽天の両社を合わせた年間の売上額は、最大で3.5兆円ということから見ても、桁外れな規模だと分かる。
この盛り上がりの背景には、スマホ決済の普及がある。今回のW11では、スマホ経由の購入率が90%以上。13年時点の中国におけるスマホ決済率は15.3%に留まっていた。急速にスマホ決済が普及したことがうかがえる。
スマホ決済が普及したのは、中国における紙幣の〝信用価値〟が低いからだ。中国では、シニアであってもスマホでQRコードをサッと読み取り、シェアバイクに乗る姿を見ることができる。スマホ決済は老若男女問わず、現代を生きる中国人のライフラインになっている。
ここまでの情報から、そんなのは都市部で生活する限られた人だけの話だと思われた方にお伝えしたい。両社は農村地域にも「農村EC」というプログラムを展開している。「農村EC」とは、農村にリアル店を設置し、店長が村人の必要な商品を代理購入し、店頭で村人に受け渡すシステム。こうしたインフラがW11を支えている。
(続きは、「日本ネット経済新聞」11月23日・30日合併号で)
《プロフィール》
unbot 中町秀慶社長
大学在学中に北京の清華大学に留学。帰国後、東京でベンチャーの不動産デベロッパーにて都市開発に従事。09年、デジタルマーケティングのアドウェイズに入社。上海にて日系大手メーカーのデジタルマーケティングのディレクターとして従事。11年、香港と上海にてデジタルマーケティングのサービスを提供する「糖猴子有限公司(SUGAR MONKEY LTD.,)」を創業、CEOに就任。14年に親会社となる日本法人「unbot」を、15年には台湾法人「台湾糖猴子有限公司」を設立した。
【現地で見た「独身の日」】<前編> 盛り上がりの背景に”スマホ決済”
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