家電を中心に約200万アイテムを取り扱うECサイト「EC―JOY」を運営するアイ・アンド・ティー(本社東京都、高橋英太社長)。15年10月には、都内・亀有に初のリアル店舗「JOY!STORE」を開設した。ECサイトの商品数を拡充していく中、家電より利益率の高い医薬品と酒類を取り扱うため、販売免許を取得した。リアル展開に着手したことで従業員の接客意識を高め、ECサイトの顧客満足度の向上につなげていく考えだ。同社の事業や店舗運営について、高橋社長に聞いた。
【200万アイテムを展開】
ーーアイ・アンド・ティーの事業内容を教えてください。
基幹システムを開発する会社として02年に設立しました。システム事業はプロジェクトの依頼があると大きな売り上げを計上しますが、一つの案件が終わると長期的に閑散期が続くというビジネススタイルです。日常的に売り上げの立つビジネスを始めようと考え、「EC―JOY」を開設しました。
システム開発事業を展開する中で、サーバーの納品などIT商材のメーカーと取引関係がありました。そのため、ECサイト開設当時はPCや周辺機器といった家電を販売していました。11年ごろにバイヤーの人数を増員し、総合通販に切り換えました。現在は約200万アイテム、約2000カテゴリーとロングテール型のECサイトになっています。
08年に発生したリーマンショックで、それまで順調だったシステム開発の案件が減少していく中、安売りをモットーとする「EC―JOY」の売り上げが急速に拡大していきました。15年12月期のEC単体売上高は前期比5%増の68億円です。
現在もシステム開発を行っていますが、売り上げのほとんどはECが占めています。従業員69人のうち59人は運営やオペレーターなどECサイト関連のスタッフで、システム開発は10人のエンジニアで行っています。
【価格コムから集客】
ーーシステム開発のノウハウを「EC―JOY」の運営にも活用しているそうですね。
ECはスタート当初から薄利多売のビジネススタイルを継続しており、現在でも価格比較サイト「価格コム」からの集客が中心です。家電ECは「20万円のパソコンを販売して利益は500円残ればいい」という世界です。利益がない中でどうやって業務を回そうかと腐心しました。
業務の効率化につながるシステムを自社開発し、「EC―JOY」に導入しています。大手企業にも導入されていますが、電子データ交換(EDI)で仕入れ情報や在庫情報などを交換、保管しています。自動で他社の価格表記を収集し、他店と比較して1円でも安く、ギリギリ採算が取れる価格を反映できるシステムを導入しています。
他社にも同様のシステムがありますが、一つのECサイトに大量の商品数を掲載していると対応できないこともあります。ここまで成長できたのは、膨大なデータにも耐えられるシステムを自社開発できたことが要因だと考えています。
(続きは、「日本ネット経済新聞」6月9日号で)
【アイ・アンド・ティー 高橋英太 代表取締役】ロングテールで年商68億円
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