【ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン 野田泰平CEO × w2ソリューション 山田大樹CEO】ファンの心をつかむリピートECの舞台裏

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 スキンケアブランド「P.G.C.D.」のECサイトを運営するペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(P.G.C.D.、本社東京都)はブランディングに強みを持つ。こだわり抜いた商品や顧客体験を提供し、成長を続けている。売上高は15年9月期に10億円を超え、16年9月期は約30%の増収を予定している。高額品の定期購入サービスで着実にファンを増やしている同社のECシステムを陰で支えているのがw2ソリューション(本社東京都)だ。P.G.C.D.のリピートECにおける理想や戦略を同社の野田泰平CEOと、w2ソリューションの山田大樹CEOに聞いた。

ーーP.G.C.D.のEC事業の全体像を教えてください。
 野田 当社は自社サイトのみで主にオリジナルのコスメを販売しています。メーンの商品はフランスで製造している高品質のスキンケアせっけんです。自社ECサイトにおける「顧客体験」にこだわり、ファン育成型のCRM施策に力をいれています。そのため、女性向けと男性向けのサイトを分けて運営しています。コスメ以外に別ブランドでヨーロッパのファッションアイテムの販売サイトも展開しています。お客さまは40代前後の女性が中心です。スイスに子会社を構えており、できれば年内、遅くとも来年にはヨーロッパでも自社ブランドの販売を開始したいと考えています。
ーーw2ソリューションのECシステムを導入したのはいつですか。
 野田 13年10月にw2ソリューションのECシステム「w2Commerce(ダブルツーコマース)」を導入しました。以前は日本のライセンシーが提供する海外のパッケージソフトを導入していました。ただ、開発元が米国なので当社の要望がなかなか通らない状況でした。日本のライセンスを持つ企業も何度か変わり、サポート体制も十分ではありませんでした。そんな時にグロービス経営大学院のMBAスクールで山田さんと知り合ったことがきっかけとなり、信頼できるパートナーだと感じたのが導入した理由です。
 山田 当社では7年前から定期購入の仕組みについては研究開発を続けていました。ただ、オフラインのカスタマーサポート(CS)の対応については不十分でした。オフラインのCSに強いP.G.C.D.さまのご要望を聞き、一緒にシステムを作り込ませていただきました。お客さまのニーズに応じて柔軟に対応できる定期購入の仕組みや、オンラインとオフラインを一元管理できるCSのシステムはなかなか他にはないものです。当社はP.G.C.D.さまのシステム構築などを通して培ったノウハウを詰め込んだリピートEC向けのシステム「リピートPLUS」を15年にリリースしました。P.G.C.D.さまは「リピートPLUS」の生みの親のような存在なのです。
ーーP.G.C.D.のシステムを構築する上で最も大変だった点は。
 山田 定期購入のシステム構築では細かいレギュレーションが多かったですね。例えば、3点セットを定期購入したお客さまが「今回は1点をスキップする」といったイレギュラーなオーダーにも対応できるようにするなど、柔軟なサービスを提供できるようにしました。
 野田 当社の商品はせっけんなので、「1回あたりこれだけ使ってくださいね」とお客さまに押し付けることはできません。使用する分量はお客さまによってバラバラなので、再販の期間設定が難しいのです。それなのに、こちらの理屈で一方的に商品を届けていては、お客さまにファンになっていただくどころか嫌われてしまいます。レストランで言えば、お客さまの食べるスピードを見て、ちょうど食べ終わったタイミングに次の料理をお出しするような気配りが大事だと考えています。お客さまのご要望に応じてフレキシブルに商品を注文できる仕組みをシステムに落とし込むところに注力しました。
ーーCSについてはどのような取り組みを行っていますか。
 野田 当社はECに特化していますが、最初から自社でコールセンターを構えて、お客さまの問い合わせなどに対応していました。コールセンターはお客さまの1割にしか利用されていませんが、年2回行っているブランド調査で特に高いポイントを付けてくださるお客さまからは「問い合わせた時の対応が好感を持てて、親切だった」というような声を頂いています。このようなサービスを実現するためには、ウェブ注文などのオンラインのデータと、コールセンターでの顧客対応などのオフラインのデータを、一元的に管理できていなければなりません。
ーー他にもw2ソリューションがパートナーで良かった点はありますか。
 野田 当社はまだまだベンチャーでシステムにかけられる資金も限られています。だからといってお客さまへのサービスを劣化させることはできません。山田さんはシステムだけでなく、経営においてもプロフェッショナルです。当社のシステムを構築する際も「まずしっかりコアな部分から作っていき、サービスを運用しながらシステムを減価償却していきましょう」とアドバイスしてくれました。「当社が成長するに従い新たな要望も出てくるはずだから、新しい機能はそのタイミングで作りましょう」とも言ってくれました。トップが経営についてよく分かっているベンダーは数少なく、一緒に成長できていると感じています。
ーー今後の事業の展望を教えてください。
 野田 6月から、ヘアケアブランドの展開を本格的に開始します。より具体的にいうと、14年11月から試験的に販売している固形せっけんタイプのシャンプーについて、定期購入をスタートします。リンスやコンディショナーを使用しなくてもぜんぜん軋まず、洗い心地がいいせっけんです。6月からテレビCMも放映する予定です。これまではスキンケアがメーンでしたが、ヘアケアにも注力して行きます。今後はボディーケアやインナーヘルスケアの分野のブランドも強化していきます。男性向けコスメについても6月から広告出稿を開始し、販売を注力していきます。これまでは売り上げの9割がスキンケア商品でしたが、3年以内に売り上げの半分をスキンケア以外の商品が占めるようにしたいと考えています。その時には定期購入のお客さまを現在の3~4倍にまで増やしたいと思っています。これまでは定期購入のお客さまが1年間で1・6倍に増えています。着実にファンを増やし、将来的にはシャネルやアルマーニのようにたくさんのお客さまに愛されるEC発のブランドを作りたいと思っています。

(続きは「日本ネット経済新聞」5月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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