千趣会の100%子会社でフラワーギフトのECを手掛ける千趣会イイハナ(イイハナ、本社東京都、杉本伸二社長)は、千趣会グループの中でも高収益企業の一つとなっている。売上高は非公表ながら、売上高営業利益率は10%以上を確保。15年12月期の当期純利益は前期比59・5%増の8326万円だった。消費者向けEC事業のみならず、昨年から法人向けに花の卸事業を開始。フラワーギフトを含めた花業界が縮小傾向にある中で、新規事業によって増収基調の維持を狙う。イイハナの事業内容や特徴を杉本社長に聞いた。
ーーイイハナの沿革を説明してください。
「住友商事の系列でイイハナ・ドットコム株式会社という会社があった。それを千趣会が2003年7月、第三者割当増資により発行済株式総数の83・3%を保有して経営権を取得、04年には100%子会社にした。『イイハナドットコム』という屋号の通り、インターネットでフラワーギフトを販売する先駆け的な存在だった。私が社長に就任したのは14年3月で現在3年目になる。もともとは千趣会のプロパーだったが、千趣会がイイハナに出資するときに社内公募があって手を挙げた」
ーーなぜイイハナの仕事を手掛けたいと思ったんですか。
「インターネットがまだ普及していない状況の中で、ネットビジネスに取り組んでみたいという思いがあったからだ。当時は千趣会におけるネットへの取り組みも、それほどではなかった」
ーー前期(15年12月期)の売上高は。
「公表していないが前期比約4%の増収だった。売上高は右肩上がりで推移しており、売上高営業利益率は10%を超えている」
ーー高い利益率ですね。原価率の影響ですか。
「花業界自体がギフトも含めて縮小傾向にある。花業界は『母の日』に依存しており、当社もその傾向は変わらない。『母の日』の売り上げが全体の5割くらいを占めており、そこで成功しなければ年間の売り上げ計画はクリアできない」
ーーではまさにこれからが書き入れ時ですね。
「昨年10月から今年の『母の日』モードに入っている」
ーー自社ECサイト以外の展開は。
「外部モールは『ヤフー!ショッピング』のほか『楽天市場』には2店舗、さらに『アマゾン』と『auウォレットマーケット』に出店している。それだけいろんなところにお店を持たないと、売り上げが積み上がらない業界だ。あとは法人向けの卸事業を展開している。細かい数字は差し控えるが、国内のフラワーギフトの中でも弊社は恐らくトップクラスの来訪者数を誇っていると思う。昨年の『母の日』におけるセッション数は約700万件だった。14年から大幅にジャンプアップした」
ーーセッション数が急増した理由は。
「ざっくり言うと検索系エンジン経由の部分だ。あとは純広告もそうだがリスティングやSEOのほか、細かい施策をかなり行っている。ECサイト以外に2サイトを持っており、『母の日』と『誕生日』に特化したサイトとなっている。ブリッジサイトとしての役割を担っており、情報コンテンツやコラムを掲載している」
(続きは「日本ネット経済新聞」4月14日号で)
【千趣会イイハナ/杉本伸二代表取締役社長】「母の日」の売上高が全体の5割
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