-15年4月に開設した「らく~だモール」について教えてください。
50歳以上のシニア層を主な対象としたECモールで、現在、約1500店舗が出店し、約8万アイテムを販売しています。厳選した国産の食品、飲料、シニア向けの衣料品、日用雑貨、生活家電、雑貨、介護用品など、幅広いジャンルを取り扱っています。特にご当地物の食品が売れています。なかなか食べに行けない地方の名物を扱っている店舗の売り上げが特に高くなっています。
初期費用と毎月の固定費を無料とした完全成功報酬型のECモールです。昨年11月には、モールと連動したギフトカタログの販売も開始しました。
-シニア向けのECモールとして、ページ作りで配慮している点は。
ユーザビリティの高さが「らく~だモール」の特徴です。文字の表示サイズを大きくしたり、横文字を最小限に抑えることで、高齢者でも見やすいサイト作りを意識しています。また、購入に至るまでの仕組みを分かりやすくし、情報量よりも買いやすさを重視しています。
-今後はどのように事業を拡大していきますか。
高齢者向けの総合サービス業に転換していくことが今期の大きな取り組みです。4月からの本格化に向けた準備段階のため、社名は公開できませんが、iPadを使った遠隔診療のシステムを開発している会社と業務提携を結びました。「らく~だモール」は今後も50歳以上に特化したショッピングサイトであり続けますが、遠隔診療のシステムを通して高齢者向けの総合サービス業として事業を拡大していきます。事業範囲を拡大していくためには、高齢者に対してどのようにアプローチするかが大切となります。遠隔診療のシステムを通してアプローチできるということが、今後の「らく~だモール」の圧倒的な強みになると考えています。
-具体的なサービス内容を教えてください。
既存のモールとは別に、専用のECモールで物販を行います。この1カ月で100社弱の店舗が参加しており、約2000アイテムを販売していきます。遠隔診療は、iPadを通して遠くにいる医者が患者の顔を見ながら診療が行えます。昨年、遠隔診療が事実上解禁となり、今後は、より身近になると考えています。高齢者の見守りや安否確認においてiPadでのサービスは非常に有効ですが、買い物支援も必須となります。そこに「らく~だモール」を組み合わせ、買い物支援を行っていきます。
物販だけでなく、コンシェルジュサービスも提供しています。今後設置していくコールセンターに直接つないで、オペレーターが買い物をするシステムです。買い物以外でも、たとえば、誰かと話したい、水漏れを直してほしいといった要望に対して、さまざまなサービスを提供しようと考えています。これが総合サービス事業への転換です。
-新たな事業はどのように生まれたのでしょうか。
遠隔診療や地域包括ケアといった考えが世間で知られるようになり、具体的にシステムを開発している会社と出会ったことで事業が明確になりました。高齢者が増加する中、世の中のサービスはまだまだ不十分と見ています。早く始めることで、10年20年後に大きなマーケットが取れると考えています。買い物支援に加えて、高齢者の生きがいとなるような仕掛けをさらに提供したいと思っています。当社はECモールの運営会社としてスタートしましたが、当初の構想がようやく形になりつつあります。
(続きは日本ネット経済新聞 2月25日号で)
【Rwave 木村昌史代表取締役】高齢者向け装具サービス事業へ転換
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