アダストリアは24年12月、ECモール「and ST(アンドエスティ)」を運営するアンドエスティを設立した。外部企業の出店を加速し、30年までに流通総額を現在の約2.8倍に当たる1000億円まで高めることが目標だ。「アンドエスティ」では、アダストリアの人気スタッフが出店企業と一緒にライブ配信を行ったり、ブランドのプロデュースを実施するなど、”共創”することでシナジー創出に取り組んでいるという。「アンドエスティ」の方針や構想について、田中順一取締役CMOに聞いた。
─最近のファッションEC業界をどうみているか。その中でアダストリアの方針は。
全体的に、再編成に向けた動きが活発になっていると感じている。これまではEC事業は人件費が抑えられて収益性の高いビジネスだとされてきたが、物流などさまざまな費用が高騰していることで、ビジネスモデルとしての”変革”が求められている。
EC事業は難易度も上がっていて、その中で勝ち残らなければならないという危機感を抱いている。
─「アンドエスティ」運営の方針は。
他社との”共創”による新たな価値を作っていくことが必要だと考えている。今年はとにかく実績、”ファクト”を作ることを強く意識している。いろいろなところをつないで、広げていく存在になるためには”ファクトベース”であることが必要だ。
共創するために「アンドエスティ」で組んだパートナー企業には、しっかりお返ししたいと思っている。そのためには、会員数も商品取扱高も拡大させていく必要がある。今春オープン予定の原宿の旗艦店舗は、共創の過程でさまざまな挑戦を”実験”できる場所にしていくつもりだ。
─アダストリアの強みの一つは実店舗の存在だが、OMO(リアルとデジタルの融合)施策についてはどう進めていくのか。
ECで購入した商品の店舗受け取りなどは当たり前として、ECと実店舗のどちらを使うかは顧客の判断。マージ(融合)するのではなく、それぞれの良さを伸ばしていく方が良いと思っている。
(続きは、「日本ネット経済新聞」2月13日号で)
【アンドエスティ 田中順一取締役CMO】 <モール流通額を5年で1000億円へ> 25年は共創で”ファクト”を作る(2025年2月13日号)
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