阪急阪神東宝グループのユミルリンク(本社東京都、清水亘社長、(電)03—6820—0515)は18年度の年間導入企業数が約200社増加し、年間での新規導入企業数が過去最高を記録した。これに伴い月間のメール配信総数が42億通を突破。スマホユーザーが増える中で、コンテンツの充実のため、HTMLメールを配信する企業が処理速度の速い同社のシステムに切り替える例が増えている。また、サービスの継続的な向上を目指し、データセンターの強化や技術系の人員を増強するなど積極的な投資も行う。清水社長にメール配信事業の今後の事業展開について聞いた。
─18年12月期の業績見通しについて聞きたい。
「キューノート」のメール配信事業の売上高は前期比13%増となる見通しだ。メール配信システムを導入する企業数が前期比17%増となり、約200社の企業が新たに増えた。1年間で200社増えたことは創業以来最も多い実績だ。
新規で増えた業種は、情報通信や製造業、小売業が約6割を占めている。一般企業のほか、ここ2〜3年では、地方自治体への導入や金融関連企業の導入も目立っている。
昨年から提供を始めた、知識不要で誰でも簡単に作成できる「HTMLエディター」が好調だった。企業のメールマーケティング施策におけるHTMLメールの制作時間を大幅に短縮できたことが受け入れられているようだ。
─EC業界の導入についての傾向はどうか。
メール配信がECとの相性が良いこともあり導入は順調に進んでいる。「HTMLエディター」についても、当初は中小規模の企業の利用を想定していた。実際には、大手企業の専任のEC担当者からも引き合いが多い。それは、SNSに加え、コンテンツの更新など、ウェブ担当者が取り組むことが年々増えているからだろう。できるだけ作業効率を高めていく中で、より簡単にHTMLメールが配信できる機能が担当者に役立てられていると思う。
既存会員へのコミュニケーションツールの一つとして、メール配信は比較的成果が出やすいという意味でEC企業は取り組みやすいのではないか。また、EC担当者同士によるつながりで紹介いただくことも多い。
─顧客満足度調査で1位を獲得した。
アイ・ティ・アールの市場調査レポート「ITR Cross View:メール送信市場の実態と展望2018」で、製品の10要素のうち8要素で顧客満足度1位を獲得することができた。機能の充足度やコストの適切さ、業務効率の向上度、顧客数・売り上げ向上などの点が評価された。
メール配信は、SNSなどと異なり、容量の多い画像(ビジュアル情報)を付加したコンテンツをダイレクトに送ることができるのが大きな魅力だ。その結果、ファッションECなど視覚で訴えるような企業からの支持が特に多いようだ。
─ショートメールを送信できるサービスも追加した。狙いは。
SMS(ショートメッセージサービス)配信サービス「Cuenote SMS(キューノートSMS)」を11月1日に開始した。携帯電話やスマホの番号を把握していれば、通知機能のほか、優良顧客向けの販促手段として活用が期待できる。
SMSを活用し、本人認証や重要な通知、プロモーション情報を届けるため開発した。 各携帯電話事業者の長文メッセージに対応しているため、一般的な約70文字までのメッセージだけではなく、670文字までのテキストメッセージを送ることができる。
URLを短縮する機能を備えているため、メッセージの文字数を節約できるほか、キャリアを自動判定するため、利用者側で携帯電話番号から携帯電話事業者のキャリアを特定することができなくても、SMSを送信できる。
─19年度の事業計画は。
SMS機能の普及に加え、EC向けのマーケティングツール機能として、メール配信機能の充実化を図る。また、データセンターや、技術系の人員を増強することで積極的に投資をしていきたい。
【メール配信システム「キューノートFC」 サービス概要】
ユミルリンクが提供するメール配信システムは、「Cuenote FC」とリレーサーバー「Cuenote SR—S」の2種類。「キューノート」は、大量のメールを高速で確実に配信できるのが最大の特徴だ。「キューノートFC」は、メールの効果測定や会員管理、システム連携用のAPIなども提供し、メールマーケティングも可能。導入金額はユニークアドレス数2000件の場合、月額で5000円。
「HTMLエディター機能」は、HTMLの知識が不要で、簡単にHTMLメールが作成できる専用のエディターとなっている。
【メール配信システム】 〈インタビュー〉ユミルリンク 清水亘代表取締役社長/メール配信機能充実化へ積極的投資も
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