美容品・化粧品を取り扱う事業者が、コロナ禍を受けてアジア向けの越境EC事業を拡大している。近鉄百貨店は、今上半期(3―8月期)の越境ECの売り上げが前年同期実績の10倍を記録。アジア各国に向けて日本の化粧品情報を発信する口コミサイトを運営するプラネティアは、今期(20年12月期)の売上高が前期比80%増となる見通しだ。美容品・化粧品を手掛けるEC事業者とプラットフォーマーに、アジア向け越境ECの足元の手応えと今後の見通しを聞いた。
■台湾ECは堅調な伸び
プラネティア(本社東京都、鎌形諭社長)はアジア向けの口コミ情報サイト「コスメリア」を運営している。現地のモニターによる日本の商品の口コミサービス。その他、主に台湾向けの販路開拓を支援する。ECを主力とし、テレビ通販、店販、卸売りにも対応する。卸先の大半は、現地ECサイトの業者だ。
「台湾では日本の基礎化粧品が人気。コロナ禍による消費動向のマイナス影響が少なく、現地のEC売り上げは堅調に推移した」(鎌形社長)と言う。今年3~5月は化粧品EC事業者による口コミの依頼が鈍かったが、現在の口コミ依頼はコロナ以前を上回っている。クライアントの増加が売り上げ増加の要因だ。
台湾だけでなく、ベトナム向けの販路にも対応する。また、「コスメリア」は口コミ情報だけにとどまらず、販売機能もある。出品した商品は越境ECとして販売可能だ。
プラネティアは楽天の越境EC部門と業務提携している。業務委託に近い形で美容品メーカーとのやり取りを請け負い、アジア向けの越境EC参入を促している。
鎌形社長によると、「楽天市場」に出店している美容品EC事業者による越境ECの売り上げは、前年比30~50%増で推移しているという。「参入する国は中国を筆頭に、香港、台湾など中華圏が多い」(鎌形社長)。
■参入障壁下げる支援も
化粧品口コミサイト「@cosme(アットコスメ)」を運営するアイスタイルは、越境ECの参入障壁を下げる仕組みを確立している。10月中旬、日本の化粧品ブランドの中国市場進出を支援する「Tmall Global(T―モールグローバル)×@cosme中国直輸出プロジェクト」を開始。初年度300ブランドの参加を目指す。
(続きは、「日本ネット経済新聞」11月5日号で)
〈美容品EC〉 アジア向け越境ECが拡大/近鉄百は前期売上の10倍に
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