東南アジアのEC市場が、コロナ禍で急拡大している。フェイスブックではこのほど、インドネシアなど東南アジア6カ国のEC利用者数が20年末までに、従来予測を大幅に上回る3億1000万人に到達する見込みだと発表した。コロナが、EC利用者数の拡大に拍車をかけているという。東南アジア市場に展開するEC企業からも、売り上げの大幅な拡大に成功したという声が聞こえてきている。ここにきて、低リスクで東南アジア向け越境ECに進出できる環境も整ってきた。アリババグループは10月22日、日本企業が東南アジア最大のECモール「LAZADA(ラザダ)」へ越境EC進出する取り組みを支援するサービスを開始したと発表した。商品をアリババの国内の拠点に送るだけで、現地へ配送できるという。「中国の次の、世界の成長センター」ともいわれる東南アジアのEC市場にアクセスするチャンスだといえそうだ。
■EC利用者が3.1億人に
東南アジアでは現在、新型コロナの影響もあり、EC利用者数の拡大が加速している。フェイスブックと米国コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーは8月、独自に行った調査の結果、インドネシアやマレーシアなどの東南アジア6カ国のEC利用者数が、20年末までに3億1000万人に到達する見通しだと発表した。過去の調査で、25年に達すると見込んでいた水準を、コロナ効果で、5年前倒しして達成した形だとしている。
コロナによるEC利用者の増加の効果を現地で実感している事業者もいる。東南アジアで、健康食品などの日本製品のECを展開するEC―PORT(イーシーポート、本社マレーシア)の鹿島功敬CEOによると、これまで、月商1億~1億5000万円で推移していた自社ECサイトの売り上げが、コロナ禍の20年4―6月に、コロナ前の1.7倍の2億5000万円前後に跳ね上がったという。
鹿島CEOによると、コロナ禍では、同社がこれまで主力としてきた、化粧品や健康食品に加えて、タオルやシャワーヘッドなどのバスグッズ、キッチンウェアといった日用品の需要が大きく高まっているという。
鹿島CEOは、ラザダへの越境ECサポート事業について、「東南アジアECは、台湾や中国に比べて、参入企業が少ないのが特徴。高品質で差別化が可能な日本製品にとっては大きなチャンスだ」と話す。
「競合が少ない分、現地でブランドイメージを高めることは比較的容易だ。SNSなどを使って着々と認知度を高めていけば、自然と売れるようになる」(鹿島CEO)とも話している。
(続きは、「日本ネット経済新聞」10月29日号で)
〈東南アジアEC〉 コロナ禍で急拡大/最大モールへの低リスク出品も可能に
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