〈住設EC各社〉 サービス差別化で大幅増収/価格勝負からの脱却志向し

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 住設機器をECで販売する事業者の大幅な増収が目立っている。ライフワンの19年1月期の売上高は前期比14.0%増の80億円だった。リンクシステムの19年9月期の売上高は前期比20%増の36億円となる見通しだ。給湯器の交換工事を行うキンライサーの19年7月期の売上高は同19.6%増の36億円に着地する予定だという。ナショナルブランドの住設機器のECは差別化が難しく、価格勝負に陥りがちだ。激化する価格競争の中、工事とのセット販売の積極化や部屋全体の空間コーディネートの提案などでサービス面の他社との差別化を図る取り組みを続けてきた住設EC事業者が急成長を遂げているようだ。

■サイトをシンプル化

 住設機器のECサイト「ジュプロ」を運営するライフワン(本社東京都)は、19年1月期の売上高が、前期比14.0%増の80億円となった要因について、「サイトを刷新し、商品単体ではなく、施工も含めた提案を積極化したため」(坂本貴志社長)と話す。
 同社は、自社サイトだけでなく、楽天市場やヤフーショッピングなどのモール店でも、集客を行っている。15年ごろからは、サイト上のコンテンツのシンプル化を図った。細かい情報コンテンツを極力省き、一部の商品情報やレビューのみが残るようにしたのだという。過去の実施件数や保証、アフターメンテナンスなど、消費者が必要とする最低限の情報については、一つのコンテンツにまとめるなどした。購入までの流れがシンプルで分かりやすくなったことが、売り上げの拡大にもつながったという。
 約10年前から通販で住設機器を販売する同社は、SEOや施工件数などにおいて、他社よりも優位に立っている。ただ、「まだまだ、住設ECの認知は低い。当社が業界を先導できるように、これからも試行錯誤しながら、利用者への認知拡大を図っていきたい」(同)と話している。


■コーディネート提案

 住設機器のECサイト「まいどDIY」の運営を行うリンクシステム(本社埼玉県)は、17年10月に開設したECサイト「コーデルーム」による差別化が成功、19年9月期が売上高は、前期比20%増の36億円になる見通しとなっている。コーデルームは、住宅の一部を住設機器などでコーディネートした空間そのものを販売するサイト。「コーデルームの利用者は、複数の商材を購入してくれるケースが多く、購買単価が高まる傾向にある。今後も提案型の販売に注力していきたい」(小林一洋社長)と話す。
 空間販売では例えば、トイレの本体だけでなく、トイレ空間に必要な付属品や壁紙、床材なども含め販売する。ユーザーは、和風や北欧風、シンプル、モダンなど約30種のパターンの中から、好みのものを選び、商品を購入できる。空間のパターンの中には、デザイナーや設計士などが提案するものもある。
 デザイナーや設計士の提案力を武器に、法人向けの営業も行っている。ホテルで使用するベッドやホテルの部屋の空間設計なども提案しており、法人向けの営業にも今後注力していくという。


■ウェブ集客に注力

(続きは、「日本ネット経済新聞」8月1日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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