百貨店大手/EC企業と提携促進/"ノウハウ吸収""顧客開拓"が狙い

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オイシックスは三越伊勢丹グループの店舗に出店している(写真は以前「クイーンズ伊勢丹石神井公園」内に設置した専用コーナー)

オイシックスは三越伊勢丹グループの店舗に出店している(写真は以前「クイーンズ伊勢丹石神井公園」内に設置した専用コーナー)

 百貨店大手とEC企業の提携が進んでいる。三越伊勢丹は9月29日、オイシックスと食品宅配事業を行う新会社を設立すると発表。京王百貨店は10月7日、雑貨ECサイト「アンジェ」を運営するセレクチュアーを完全子会社化した。三越伊勢丹はオイシックスのノウハウを吸収し、食品宅配事業を活性化するのが狙い。京王百貨店はセレクチュアーが抱える30~40代の顧客を取り込みたい考えだ。


■食品宅配てこ入れ

 三越伊勢丹はオイシックスとの合弁会社でグループの食品宅配サービス「エムアイDeli(デリ)」をてこ入れする。
 三越伊勢丹グループで食品宅配を手掛ける三越伊勢丹フードサービスは5期連続で赤字となっている。食品宅配事業は収益化に向けて前進しているとはいうものの、合弁事業化でさらに収益力を高めたい考えだ。
 三越伊勢丹は13年から、食品宅配においてオイシックスのフルフィルメントサービスを活用したり、オイシックスから野菜を仕入れたりしていた。パートナー企業としての取引の場合、オイシックスのノウハウを活用できる領域は限定的だった。
 合弁会社を設けることで両社のノウハウを共有でき、食品宅配事業の活性化に役立つと考えた。合弁会社の設立時期や具体的な事業内容については今後、協議する。
 オイシックスのネット集客やCRM(顧客関係管理)、サービスプラン構築のノウハウなどを生かし、「エムアイDeli」のサービス内容や運営方法をバージョンアップしたい考えだ。


■オムニ促進に生かす

 今回の提携はオイシックスにとってもメリットがある。三越伊勢丹の食品宅配を盛り上げることは、フルフィルメントサービスの稼働率を高めることにもつながる。さらに、三越伊勢丹の顧客基盤を生かした、オムニチャネル事業に取り組むことができる魅力も大きい。
 オイシックスは近年、ネットに加えてリアル店舗での顧客獲得も積極化している。自社で百貨店などに出店するよりも、低コストでリアル店舗の顧客を獲得できる可能性がある。
 オイシックスは昨年10月、良品計画出身でオムニチャネルに知見がある奥谷孝司氏を招へいした。オムニチャネル施策を本格化するにあたり、国内有数の百貨店で優良顧客を抱える三越伊勢丹は格好のパートナーだったわけだ。

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月13日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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