【インタビュー特商法改正検討会 委員、日本経済団体連合会 ソーシャル・コミュニケーション本部長 正木義久氏】 〈定期購入規制強化の問題点〉「別件逮捕」につながる可能性も

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 特商法および預託法の制度の在り方に関する検討委員会が8月19日にまとめた報告書では、「詐欺的定期購入商法」について、規制を強化する方針が示されている。定期購入販売について「違反のおそれのあるサイト等へのモニタリング等を外部の専門的リソースも最大限に活用して法執行を強化するといった抜本的な措置を講じる必要がある」とも言及しており、執行強化に向けて外部の力を最大限に活用する方向性を示している。同検討会の委員を務める、(一社)日本経済団体連合会(日本経団連)の正木義久ソーシャル・コミュニケーション本部長は、8月19日の会合で「(報告書の文言をそのまま受け取ると)警察が私立探偵を雇って捜査することにならないか」などと懸念を表明した。正木氏に、定期購入に対する規制強化の問題点などについて語ってもらった。

■行政がアクセス解析を実施

 今回検討会がまとめた報告書は、総論として、「悪質な事業者を排除する」という趣旨になっており、その点には積極的に賛成している。ただ、法律の条文の書きぶりによっては、一般の健全な事業者も規制の対象になってしまう危険性をはらんでいる。消費者庁が実際に、特商法の条文にどう規定を盛り込むかを、今後は注視していく必要がある。
 「違反のおそれのあるサイトへのモニタリング」が、報告書の脚注で指摘している「デジタル・フォレンジック(※参照)」のような手法を含むとすれば、違反の疑いのある特定のECサイトについて、顧客の購入履歴やアクセス履歴など、過去のログを解析するということになる。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月10日号で)

〈プロフィール〉
正木義久(まさき・よしひさ)氏
 一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)ソーシャル・コミュニケーション本部長。経団連総務本部長・管理本部長・労働制作本部長などを経て現職。消費者庁が開催する「デジタル・プラットフォームが介在する消費者取引における環境整備に関する検討会」の委員も務めている。


 ※デジタル・フォレンジックとは…犯罪捜査などで、デジタルデータに関する分析や調査をする技術のことを指す。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ