【アウラインターナショナル 右近雅也社長】オンラインでも勝てるような戦略を立てていく

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 ヒト幹細胞培養液のスキンケアシリーズ「アクアージュ」をネットワークビジネス(NB)で展開するアウラインターナショナル(本社福岡県)は、19年7月のグランドオープン(正式開業)から20年6月末までの1年間で会員数が約6万人、売上高は80億円に到達した。「オンラインでも勝てるような戦略を立てないと3年後に生き残れない」と語る右近社長に、業績好調の背景と正式開業2年目の事業計画について聞いた。

■初年度売上高計画通り80億円

 ─20年6月末でグランドオープンから1年が経過した。初年度の業績について聞きたい。
 初年度の売上高は計画通り80億円に到達した。グランドオープン時は、初年度60億円を計画していたが、今年3月までの9カ月間で到達したため上方修正した。
 今年に入り、1~2月が5億円の売り上げ、3月度はキャンペーンが奏功し21億円に急伸し、4・5月は4億5000万円だった。新規会員は毎月2500人ペースで増えている。このペースでは目標到達は難しいかと思ったが、オンラインを使った施策が奏功し、6月単月で売り上げは6億6000万円となり、キャンペーン実施月を除けば過去最高を更新した。
 美容室やサロンなど店舗を経営する経営者の会員登録(個人事業主申請)も多く、製品を仕入れて販売する売り上げも大きな割合を占める。
 ─コロナ禍にも関わらず業績を順調に伸ばした理由は。
 「ユーチューブ」「Zoom(ズーム)」「ER」の三つの戦略を立てた。新型コロナの影響が出始めた3月から、本社主催のセミナーをオンライン会議システム「Zoom(ズーム)」に切り替えたほか、4月8日には「公式ユーチューブチャンネル」を開設した。私を含め副社長の岩見優則やコンプライアンス責任者などが、1日も休まずに毎日正午に配信している。ズームによるセミナーは、月400回にものぼる。本社がセミナーの主催を許可した会員は120人で、配信する動画は事前に法令チェックしている。
 これまでは会員が対面で製品やビジネスについて説明してきたが一般的だが、ユーチューブの動画を見てもらうだけでリクルートができる体制を整えた。


■大手ECモール出店でブランディング化

 ─「ER」戦略について聞きたい。
 イーコマースの「E」とリクルートの「R」を組み合わせた造語だ。7月に自社ECサイトを立ち上げたほか、8月からアマゾン、楽天市場、ヤフーショッピングに出店する。
 これには二つの目的がある。一つ目は、NB企業として大手ECモールに出店できることでブランディングにつなげること。二つ目はコロナ禍でECが活発化するにつれ、当社の製品をフリマサイトで転売するケースが散見されるようになったため、これを防ぐのが狙いだ。
 公式サイトを始めることで、他のフリマサイトなどで売られている製品には保証がないことを明記し、出品を防ぐことを狙う。今秋には製品にQRコードを付けて識別できるようし、転売防止に努めていく。
 7月からは製品を愛用するだけの会員制度を始め、製品のリピート購入ができるようにした。
 ─ECで売れた場合も会員の報酬につなげる。
 ECでは、希望小売価格で販売するため、会員がSNSなどで拡散して製品が売れた場合に、会員価格との差額を報酬として支払う仕組みを8月から始める。NBの報酬と併せて、ECによる収益も期待できる。
 ─「ビューティーコンテスト」戦略も積極化させている。
 私の個人企業「Office REALiZE(オフィスリアライズ)」が、ビューティーコンテスト「2020ミス(ミセス)・アース・ジャパン」の運営に参画した。地方大会のオフィシャルスポンサーとなり、22都道府県で開催する地方大会の権利を得ている。アウラはこの大会のスポンサーとして協賛し、製品の提供を行う。
 メークやヘアケアに関する研修を行う「一般社団法人リアライズビューティーアカデミー」を立ち上げた。会員が資格を得るために学ぶことで、スキルアップにつなげている。地区大会の優勝者は当社の会員がほとんどで、プロダクション機能を構築し、インフルエンサーとして活躍できるようにしている。


■オンラインでも勝てる戦略を

 ─正式開業2年目の意気込みについて。
 NB業界もオンラインで勝てるような戦略を立てないと3年後に生き残れないだろう。国内だけではなく、中国でのECも予定し、コロナ禍の影響で3カ月ほど遅れているが、海外のSNSやショッピングモールや免税店に出店することが決まっており準備を進めている。海外の売り上げは5年で売上高1000億円をめざす。
 11月4・5日に広島で開催するコンベンションでは、製品のリニューアルを発表するほか、新たな戦略を打ち出していく。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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