【〈食品宅配〉インタビュー/シュガーレディ本社 佐藤健社長】 認知向上で新規顧客獲得を

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 シュガーレディ本社(本社東京都)は、19年度の事業目標として、新規顧客を3万人獲得することを目的に、少人数の「無料試食会」を新たに開催したり、カット済みの食材とレシピがセットになった「ミールキット」の販売に乗り出している。企業で働く従業員向けに食品を販売するBtoE事業「オフィス・シュガーレディ」は今期目標の100契約を超えており、業容を拡大している。佐藤健社長に今期の事業の進捗や今後の事業計画について聞いた。

 ─20年3月期の進捗について聞きたい。
 来年、創業から50年を迎え、ベテランのシュガーレディ(SL)が年齢的なことで、引退する人が増えてきている。SLの引退と同時に、お客さまが商品を購入する機会も減ってきてしまった。
 一方で、30~40代の若手のSLが台頭してきたが、ベテランが引退した穴を埋めるまでには至らないのが現状だ。19年4―9月期(中間期)の売上高は前年同期比3%減で推移している。
 こうした状況の打開策として、1月から新規顧客を3万人獲得する「スマイル3万」を始めた。実質的には4月からの取り組みだが、現段階で約半数にあたる1万5000人の新規顧客を獲得できている。ただ、最初から購買単価が高いわけでもないので、まずは新規顧客を増やしていく必要がある。年内に2万人は獲得したい。
 ─無料試食会で活用する「新パーティーセット」を投入した。
 チームで最低3人の見込み客を動員して、電子報告書を提出すれば、開催手当を支払う仕組みだ。また、「一品(ひとしな)クッキング」を新たに導入した。1時間程度の調理で、マネージャーが不在でもSLと顧客のみで開催できるなど条件を緩和して接点を広げている。
 さらに、新規顧客向けの「スターターキット」(お試し商品)の販売も4月から始めた。人気商品を、既存商品の価格よりも約2割安く購入できるようにしている。
 ─年末商戦についてはどうか。
 今年のコンセプトは「簡単で本格派」だ。鳥の雑煮や牛ホホ肉などこれまで以上に本格的な商品を取りそろえた。商品数は前年と同規模の470点に上る。
 特定地域の美しい景観や希少価値のある食材などを守るために立ち上げた新プロジェクト「美しい国から」では、北海道のオホーツク管内で採れる青果を素材にしたおせちや、石垣島の和ロール(クリスマスケーキ)などの販売を始めた。売り上げの一部は、その地域の自治体や環境保護団体に寄付している。
 ─「オフィス・シュガーレディ」も順調に導入先を増やしている。
 今年4月から本格展開を開始した、企業で働く従業員向けに食品を販売するBtoE事業「オフィス・シュガーレディ」はかなり順調だ。期初の計画では、年内に100契約を目指していたが、すでに115契約まで増えている。年内には130契約を計画している。
 商品数を徐々に増やしており、約40品を揃えている。その企業のニーズに合わせて対応できるようにしている。
 今年から、企業への配送を既存のSLに委託する制度を始めた。配達件数に応じてSLへの歩合給を上乗せすることで、SLへの付加価値も高めている。社内での利用をきっかけに当社の製品を知っていただき、自宅での利用につなげることを視野に入れている。「オフィス・シュガーレディ」は、有力な顧客接点の一つに育てていきたい。
 ─海外事業はどうか。
 すでに進出している香港では、今秋から料理教室を始める。
 欧州の最大の菓子の展示会「サロン・ド・ショコラ」に「石垣島のうーじ糖」を昨年出品したことをきっかけに、このほどスイスで販売することが決まった。今回の販売をきっかけに、日本のすばらしい食材を世界に発信していきたい。
 ─著名人やスポーツ選手への食材提供も行っている。
 ブランディングの一環として、国内のアスリートやダンサー、パフォーマーを対象にした食材の提供を強化している。フェンシング日本代表のほか、Kバレエカンパニー、女子プロバスケットボール選手、女子プロサッカー選手などにも広げている。最近では、宝塚歌劇団の花總まりさんに利用をいただいており、そのファンの方にも広がりを見せている。認知向上に生かしていきたい。


【企業データ】
 設立 1970年
 売上高 19年3月期は前期比2.0%減の154億4500万円
 取扱商品 無添加にこだわった冷凍食品、常温食品、化粧品、サプリメントなど

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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