【ポーラ 執行役員 トータルビューティーエリア担当 トータルビューティーエリア統括部部長 片峰靖朗氏】市場を面でとらえる組織に

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 ポーラは19年1月、大幅な組織改変を行った。これまでは全国40カ所のセンターが各地の販売員を統括していたが、市場の購買特性や文化に合わせて、11のエリアに統合。さらにより細かく地域市場に対応できるように48カ所のチーム(ゾーン)を組織した。昨年まで各センターのスタッフが行っていた業務を、市場性に合わせて販売員を支援する「コンサルタント」などの、三つの機能に分化した。「地域の市場を点ではなく面でとらえる組織を作るため、大きく改変した」と話す、トータルビューティー(TB)エリア統括部部長の片峰靖朗執行役員に、組織改変の裏側について聞いた。

◆地域の文化に差

 ─大きな組織改変を行った理由は。
 各地域のポーラの取り組みを見たときに、各地域の市場性に合わせた、販売戦略や販売員のリクルート戦略が必要だと感じたのが大きなきっかけだ。
 ポーラでは18年から、各地の拠点のスタッフやビューティーディレクター(BD)が考案した優秀な企画を評価するイベント「うつくしくはたらくプロジェクト」を実施している。「うつくしくはたらく」では、地域のポーラのセンターやBDが、自治体とタイアップイベントを行うといった施策も提案された。地方の他業種企業や団体とイベントを行うといった提案もあった。その場で提案されたさまざまな取り組みが、別の地域のスタッフやオーナーを刺激し、今や全国規模で拡大しようとしている。
 今後もお客さまに選ばれていくためには、地域の市場に合わせた戦略がさらに求められるようになると感じていた。
 ポーラは今までよりも市場に寄り添った組織を作るべきだと、私は考えている。組織のグランドオーナーや、ショップのオーナーマネージャーには、「マーケットを面でとらえるように」と伝えている。つまり、個々のショップ単位でBDのリクルートや、新規顧客の獲得を行うのではなく、同じ市場性を持った地域で、共同でイベントを行ったりしていくべきであるということだ。


◆のれん分けで問題も

 組織をエリアで統括するメリットは他にもある。それは、組織からのれん分けしたBDが、別の地域でショップを出すケースだ。
 例えば、神戸を拠点とするグランドオーナーの傘下のショップから一人のBDがのれん分けして、家族の転勤で東京に引っ越すことになったとする。BDとして長年活動して得たノウハウを生かしたいと思い、東京で出店したとする。
 これまでのポーラでは、東京で出店したBDは神戸のグランドオーナー、神戸のセンターの管轄になっていた。のれん分けしたBDの成長を、親であるグランドオーナーが見守るのは当然だが、「マーケット」という観点で見たときに、活動にやりづらさが生じていた。近年のポーラでは、こうしたいわゆる「飛び地現象」が次々と起きていたのだ。
 組織改変では、本来所属している組織とは遠いところで活動していても、組織の系列は変えずに、日常的な活動の際には、そのBDが活動するエリアが統括できるように改めた。

 ─それぞれの地域には具体的にどのような市場性の差があるのか。

(続きは、「日本流通産業新聞新聞」6月27日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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