【阪急キッチンエール関西 桐山秀基代表取締役社長】 〈地域密着型食品宅配事業で17年目〉/シニア層へサービス強化、ミドル層の拡充を

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 阪急キッチンエール関西(本社大阪府、桐山秀基社長)は2002年5月に創業し、大阪府内を中心とした関西を基盤に地域密着型の食品宅配事業を展開し、今年で17年目を迎える。18年4月には、09年から阪急キッチンエールの事業に携わってきた桐山秀基氏が社長に就任。19年3月期は既存会員の掘り起こしに力を注ぎ、シニアからの支持を集めている。桐山社長に今後の事業展開について聞いた。

 ─桐山社長のこれまでの経歴を聞きたい。
 阪急に入社してからは百貨店の通信販売部(カタログ)や食品関連の部署、物流関連部署を経て、09年から阪急キッチンエールに携わっている。阪急キッチンエール九州や阪急キッチンエール東京の立ち上げにも関わってきた。
 阪急キッチンエールはサービス開始から16年が経過した。ここ数年は物流コストの高騰もあり業績が厳しくなっている。以前に比べて競争相手も多くなっている。約10年前は、注文日の翌日に商品を届ける当社のビジネスモデルは他社との明確な差別化になっていた。しかし、ネットスーパーやECをはじめとして競合他社がリードタイムを短縮化したことでサービスの優位性が失われつつある。
 顧客層を見ると若年層の継続率が低く、シニア層は安定的に利用してくれている。新規入会した人数と同数が退会してしまう会員数は、ここ数年、3万6000人前後で変わっていない。食品の販売チャネル、取り扱い企業が増えていて継続的に注文をもらうハードルが高くなっている。
 ─シニア層から高い支持を集めている。
 ウェブだけではなく、オペレーターによる電話注文も設けて利便性を高めているからだ。現在、電話による音声注文が25%、オペレーターによる電話注文は10%、残りはウェブ注文が占めている。
 毎週約3万部のカタログを会員に配布している。カタログを見ながら注文する音声注文や電話注文は、ウェブでの注文よりも1回当たりの購入単価が高い傾向にある。ウェブでは一部の商品しか画面で訴求することができないが、カタログは一覧性を強みについで買いつなげることができている。
 また、クロスセルや購入を迷っている会員に商品について説明できるため単価アップにつながる。電話注文での単価は1回当たり7000円となっている。
 ─注文をウェブにシフトさせるという計画はあるのか。
 業務効率を考えれば、ウェブにシフトするのが一般的なのかもしれないが、カタログは会員との重要なコミュニケーションツールとして役立っている。読み物として毎週楽しみにしている会員も多く、よりコンテンツを充実させていくことを考えていきたい。

(続きは、「日本流通産業新聞」2月28日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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