【〈イベント通し子育て層との接点増やす〉コープこうべ 新島進宅配事業部事業部長】対面によるコミュニケーションで差別化図る

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 地域生協大手のコープこうべ(本部兵庫県、木田克也理事長)の18年3月期の供給高(売上高)は、前期比1・3%増の1079億1600万円と堅調だった。従来のドアツードアに加え、子育て層が多く集まるイベントに出店して消費者との接点を増やしている。約1400人の配送員に対する接客レベルの向上を掲げ、専属のトレーナーを配置し、継続利用を促している。宅配事業部長の新島進氏に聞いた。

 ─ここ数年個別宅配が全体の業績をけん引している。

 協同購入(グループ配送)よりも個別宅配のニーズが高くなっており、1軒あたりの利用金額も高い傾向にある。山間部や島しょ部などは、協同購入のニーズが高く、利用する地域の特性によって売り上げは異なる。
 訪問件数は8%増の48万件で伸びた。以前は、ドアツードアを主力に新規組合員の獲得を進めていた。しかし、在宅率が低下傾向にあるので、子育て世代の組合員を獲得するため、イベントを利用して接点を増やしている。ほぼ毎週、何らかの子育て関連のイベントにブースを出店して、顧客との接点を創出している。コープこうべ内に4〜5人で構成するイベントチームがある。イベント開催時に組合員に加入する人は全体の3割で、残りは営業職員が改めて自宅に訪問して加入してもらうことが多い。
 新規加入は、ドアツードアによる開拓が3割、以前利用していた人が再開するのが4割、残りの3割はイベントなどを通じたもの。1人当たりの獲得コストを考えると、イベントからの加入でも採算は合う。
 ドアツードアの割合を減らす方針を掲げているが、決してやめるということではない。ドアツードアなら、イベントには行けない人にも会える。ドアツードアを担当するスタッフは70人ほどで、時期によって若干変動させている。

 ─営業職員の人材獲得で工夫をしている点はあるのか。

 約1400人在籍する配送スタッフの中から優れた人を営業職員として配置転換して確保する。むしろ、配送スタッフの確保の方が喫緊の課題だ。
 営業効率を上げるため、タブレット端末を導入し、接客時間を確保できるように努めている。例えば、職員が今どこにいて、近隣に見込み客がいるかどうかを地図上で確認できるようにすることで、訪問件数を増やすことができる。業績報告などもできるようにしており、日々の営業効率は高まっている。実際に、営業量を増やしたことで獲得件数は上がっている。

 ─商品施策についてはどうか。

 単価は高くても、こだわりの商品をバイヤーが全国から集めて販売すると好評だ。百貨店の商品と似たような商品が並ぶこともあるが、シニアを中心にニーズは高い。
 過去の購入履歴に応じて、自動的にチラシを封入する施策も実施している。全員に同じチラシを入れるよりも、購入に結びつく割合は大きい。今後は精度を高めて販売につなげたい。
 チラシを配布しているのは、商品を見る時の一覧性に優れていることもあるが、配送員と組合員とのコミュニケーションツールとして欠かせないからだ。ネットで注文するからカタログは不要という組合員もいるが、原則的に手渡しにこだわっている。

(続きは、「日本流通産業新聞」7月26日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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