【スクロール 鶴見知久社長】〈M&Aを積極展開/Dマーケコングロマリット推進

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 スクロールがM&Aの展開による業容拡大を図っている。17年7月には化粧品通販のキナリを資生堂から買収。今年1月末にはミネルヴァ・ホールディングス(HD)を傘下に収めた。ミネルヴァHDは5月1日付で、アウトドア用品のECを手掛けるナチュラム・イーコマースを吸収。同日付で社名を「株式会社ナチュラム」に変更する。4月からスタートしている新年度の計画を、スクロールの鶴見知久社長に聞いた。

■ミネルヴァHDの根本的思想に魅力

 ─スクロールグループがミネルヴァHDに興味を持った理由は。

 ミネルヴァの子会社で、アウトドア用品などのECを手掛けるナチュラム・イーコマースは、スクロールグループで物流代行を手掛けるスクロール360にとって初期のクライアントの1社だった。当時はネット通販の第一世代が活躍しており、ナチュラムもその1社だった。ただ、他のネット通販が楽天市場のモールで売り上げを伸ばす中、ナチュラムは自社サイトをメインに展開し、しかも集客も自社のブログシステムを構築しているなど、非常に特徴のあるECを展開していた。従って当時からナチュラムのことはよく知っていたが、今回、縁があり、スクロールグループのECビジネスとは異なる息吹を吹き込んでくれるとの期待から株式取得の話を進めた。

 ─グループのネット通販とミネルヴァHDのビジネスは異なりますか。

 われわれは以前から、「ECモールでナンバーワンを張れるショップを三つ持とう」と掲げ、EC事業を成長させることを考えている。グループ企業でいえば、イノベート、AXES(アクセス)、スクロールR&Dだ。これらの3社はナチュラムと似たビジネスモデルだが、やはり商品特性の違いによって、マーケティングも異なる。ナショナルブランドの商品を扱うということでは一緒だが、ナチュラムの顧客層や取扱商品、売り方といった根本的なビジネス思想が先に挙げた3社と異なっており、そこに魅力を感じている。

 ─ミネルヴァHDもそうですが、昨年は資生堂からキナリも買収しました。M&Aの資金が豊富ですね。

 M&Aについてはほとんど取得額を開示しているので分かると思うが、それほど大型の案件を実行してきたわけではない。キャッシュは財務諸表に記載しており、あくまで自己資金の範囲でできる規模の案件となっている。
 ─これまでのM&Aによる買収を含め、4月以降の新年度はどのような方針で臨む計画ですか。
 スクロールグループは「ダイレクトマーケティングコングロマリット」という、DMC複合通販を一つの経営コンセプトとして掲げている。ダイレクトマーケティングのスキルがわれわれのコアな能力で、社内ではケイパビリティと言っているが、ダイレクトマーケティングのケイパビリティを基にグループのポートフォリオを強化していく戦略をとっており、セグメントごとに事業ポートフォリオを強化していく。


eコマース事業は安定成長推進

 ─具体的なセグメントごとの計画は。

(続きは、「日本流通産業新聞」4月26日・5月4日合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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