【蓄電池は勝機! 訪販活況に】 蓄電池販売に注力し大幅増収に/年間1400台販売の訪販事業者も

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 蓄電池販売に注力することにより、10~55%という大幅な増収に成功する、太陽光発電の訪販事業者が続出している。背景には、FIT(※用語解説参照)がある。19年11月をもって、10年間の固定価格買取期間が満了を迎える住宅が50万戸以上ある。その後も満了者は順次増えていくことになる。その満了予定者に対する蓄電池の営業を、太陽光発電事業者が積極化しているのだ。すでに、1台数百万円もする蓄電池を年間1400台前後販売する訪販事業者も出てきている。


〈販売の拡大で大幅増収へ〉
 蓄電池の販売拡大が、大幅な増収につながるケースは少なくない。新日本住設(本社兵庫県、金田明秀社長)の18年4月期の売上高は前期比52.7%増の55億円となったが、増収の主たる要因は、蓄電池がよく売れたことだった。蓄電池販売をメインで行っているサンユウ(本社東京都、山口滿社長)も、18年9月期の売上高が前期比55.1%増の37億6000万円となった。
 固定価格買取制度が満了を迎える、住宅用の太陽光発電の設置者には、二つの選択肢が用意されている。「引き続き売電収入を得る」というのが一つ。その他に、日中は太陽光発電の電力を利用し、余った電力を蓄電池に貯め、夜間に利用する「自家消費型」という選択肢がある。蓄電池は「自家消費型」と非常に相性のいい商材だ。
 各電力会社が急ぎ足で「引き続き電力買取を行っていく」方針を示すなどしており、消費者にとって、「売電収入を得る」選択肢も残ってはいる。ただ、電力の買取価格はまだ明確になっておらず、消費者としては現時点で積極的に「売電」を選択しづらい。各社とも19年4月以降に具体的な買取価格の公表を開始する方針を示している。
 そんな中、太陽光発電の訪販各社は、消費者に「自家消費型」への移行を提案、「自家消費型」と相性の良い蓄電池の販売に結びつけている。
 消費者の「自家消費型」へのシフトに追い討ちをかけたのが、18年9月の北海道大地震により発生したブラックアウト(大規模停電)だった。2日間電力が復旧しない異常事態の中、太陽光発電と蓄電池を備えた住宅は、夜もこうこと明かりを灯していた。ブラックアウトの報道をきっかけに、北海道以外の地域でも災害時の被害を最小化する対策として、電力ソースの分散化、すなわち「太陽光発電で得た電力の自家消費」にがぜん注目が集まることとなった。訪販各社に消費者から寄せられる、蓄電池に関する問い合わせも、ブラックアウト以降増えているという。
 かねてから「自家消費型」へのシフトが進むと見込み蓄電池の販売を強化していた太陽光発電事業者は軒並み、増収となっている。太陽光発電訪販各社が、蓄電池販売をどのように捉え、どのように取り組みを進めているかを紹介する。

(続きは、「日本流通産業新聞」2019年1月10日号で)


■掲載記事
〈注目販売会社を紹介〉
・エイジー・ジャパン/半年で600台超販売/19年6月期は売上50億見込む
・グリムス/1400台の販売見込む/VPP事業の構想も視野
・サンユウ/18年9月期55%の大幅増収/蓄電池1400台販売し
・メッドコミュニケーションズ/18年12月期10%増収に/蓄電池販売が牽引
・住環境ジャパン/販売数は600台に/前年の2.5倍の売れ行き
・新日本住設/1500台も視野に/経済効果をシステムで説明
・サンワシステム/18年12月期蓄電池売上5億円へ/住宅ローンと組み合わせて提案
・日本エコシステム/蓄電池販売22%増/今期1100台の見通し
・リベラルソリューション/19年3月期80%増収/プラスαの蓄電池販売が好調で

〈蓄電池関連の補助金制度〉 
・エネ庁は新補助金創設/19年度政府予算案は135億円

〈組織体制の見直しを〉

〈注目のサービス〉
・国際航業/太陽光発電の経済効果診断/導入企業110社超に

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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