中堅EC企業の資金調達相次ぐ/モール運営のジオシスは100億円増資

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中堅EC企業が資金調達を相次いで実施し、成長を加速させようとしている。アジア地域でECモール「Qoo10(キューテン)」を運営するジオシスグループ(本社シンガポール、具永培CEO)は7月22日、約100億円の資金調達を実施した。調達資金は日本版「Qoo10」のスマートフォン(スマホ)向け販売の強化や、日本企業の越境EC支援にも費やす予定だ。DIY工具ECの大都(本社大阪府、山田岳人社長)や総合ECのジェネレーションパスも7月に資金調達を実施した。各社は資本力を強化することにより、自社の強みを生かし、先行する大手企業を追随しようとしている。

モバイルECの成長加速

 ジオシスグループはシンガポールの最大のメディア企業・シンガポールプレス・ホールディングスなどから約8200万米ドルの資金を調達した。1米ドル123円で換算すると調達資金は約100億円になる。
 ジオシスグループは、日本やシンガポール、中国、インドネシア、マレーシアでECモール「Qoo10」を展開している。日本版「Qoo10」の会員数は6月に500万人を超え、15年1―6月期の流通総額は前年同期比40%増と成長しているという。
 日本版「Qoo10」は急成長しているが、「楽天市場」など国内で先行している大手モールとの差はまだ大きい。調達した資金を同モールの強みである”モバイル販売”と”越境ECサービス”をさらに強化するために投資する計画だ。
 同モールのモバイル販売比率は8割を超えており、大手モールよりも高い水準にあるという。今後、スマホ向けECサイトにおけるシステムや、マーケティングを強化し、さらにモバイル経由の流通総額を拡大したいという。
 さらに同社は7月、スマホ向けショッピングSNSアプリ「ショッピングトーク」をリリースした。同アプリでは、ユーザーが「キュレーター」として商品情報を編集したコンテンツを他のユーザーに向けて公開できる機能を設けた。
 「コンテンツを見た他のユーザーが商品を購入したら、コンテンツを作成したユーザーにポイントを付与する仕組みもある」(日本法人代表・金孝種氏)と話す。他にも同アプリ上でユーザーが楽しみながら商品を購入できる機能を提供する予定だという。
 国内から「Qoo10」が展開している地域に販売できる越境ECサービスも強化する。「シンガポールではすでにナンバー1のECモールに成長しているが、メディア企業と資本提携したことにより、東南アジア地域でのプロモーションをさらに強化する」(同)と話す。
 国内外の物流施設への投資を強化し、海外向け配送サービスも拡充する予定だ。

(続きは「日本流通産業新聞」7月30日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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