【ECの取り組みに関する本紙調査】スマホ、店舗連動を重視/今期も売上拡大の課題として

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本紙姉妹紙の「日本ネット経済新聞」が6月11日号でまとめたネット通販売上高ランキングでは、ネット通販実施企業に対して14年の取り組みと、現在抱える課題などについて調査した。それによると、売り上げ拡大に向けた取り組みとしては「スマートフォン(スマホ)」と「実店舗を絡めた取り組み」を挙げる企業が多かった。今期もスマホ、O2O、オムニチャネルに関する取り組みに力を入れている事業者が目立っている。
トップ調査 本文
実店舗とネットを連動
 調査はEC企業、通販企業のネット部門、モール出店事業者、個人事業主を対象とした。14年に力を入れたことについて1~3位までを選択する形式で質問し、82社から有効回答を得た(表1参照)。
 14年は「売り上げ拡大」「利益確保」「新規顧客獲得」に力を入れたとする回答が上位を占めた。
 具体的な施策として、「スマホサイトのユーザビリティー改善」「スマホ版のランディングページの制作」「スマホ向けSEO対策」などが挙がった。大手通販会社、大手メーカー通販部門、中小ネット通販など売り上げの規模をかかわらず、スマホがキーワードになっている。
 スマホ向けの施策のほか、実店舗を持つ事業者では店頭と連動した施策が目立つ。
 14年8月期のネット通販売上高が前期比21・4%増の13億9400万円だった子ども服通販のコージィコーポレーション(本社大阪府)は、実店舗の会員をメルマガから通販サイトに誘導している。
 ギフト通販のユニー(本社愛知県)も、実店舗を活用したプロモーションを積極的に展開することで、15年2月期の売り上げを同20・0%増の10億円に伸長させた。
 日本トイザらスも、実店舗とネットの相乗効果を狙う取り組みに積極的だ。一部のカテゴリーを対象に、店頭で取り扱っていない商品や欠品している商品を、顧客が店舗にいながら通販サイトで注文できるシステム「ストア・オーダー・システム」を導入している。

メールマーケは必須
 スマホ、実店舗との連動のほか、取扱商品に関して回答する事業者も多かった。
 14年12月期の売り上げが同20・3%増の44億1300万円だったインテリア通販のジェネレーションパス(本社東京都)、同期売上高が同47・4%増の4億6300万円だったアパレル通販のデジスト(本社大分県)などは、商品点数の拡大で増収につなげている。
 ゴルフ用品販売のリアルマックス(本社広島県)やイベント用品販売のエルシー企画(本社京都府)などは、自社のオリジナル商品の開発に力を入れたとしている。
 スクロールも品ぞろえを拡充することで自然検索の流入を増やして売り上げ拡大を図った。ただ、当初の想定ほど自然検索から売り上げ貢献が図れなかったため、現在は広告出稿の強化を検討しているという。
 メルマガ強化など、メールマーケティングに重点を置いたという回答もあった。千趣会は属性やカタログ配布の有無といった顧客情報、購入情報などを一元管理し、企画・実行・運用までを自動化する「キャンペーンマネジメントシステム」を導入。「ヒト・モノ・タイミング」を意識したメルマガ配信を実現しているという。
 「ネット通販売り上げ拡大で最も効果的な販促手法」を各社に聞いたところ、メルマガ施策の強化が多くの回答を集めた(表2参照)。
 前期のネット通販売上高が前の期より20%以上の成長率となった事業者は、ポイント施策やアプリの強化を行っている。

(続きは本紙 6月18日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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