消費者庁/消契法への追加を提案/契約内容を購入前に表示

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 消費者庁は5月13日、消費者契約に関する検討会を開催し、消費者契約法に、商品購入に関わる返品などの契約内容を事前に表示する努力義務を設けることについて議論した。対象は契約全般に及ぶが、検討会ではECやデジタルプラットフォームでの契約について意見が集中した。
 消費者庁は、過去の研究会における議論に基づき、「ECなどで契約に関する重要な内容を、分かりやすく表示するよう努力義務を課すことを消費者契約法に設けたほうがよいのではないか」と提案した。「デジタルプラットフォームやECサイトが介在する取り引きでは、契約内容が消費者にとっては分かりやすいものではない」(同)とも意見している。
 河村耕平委員(早稲田大学政治経済学術院教授)は、「消費者に契約内容を分かりやすいように表示するのは当然だ。内容の開示に必要なコストは事業者が負担すべき」と強調している。
 表示の分かりやすさの基準について、後藤準委員(全国商工会連合会常務理事)は、「基準は、それぞれの業界団体に任せた方がいい」と意見した。
 一方で、沖野眞巳委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、「新しい分野では業界団体がない場合もあるので、業界団体だけに任せるのは不安がある」と指摘。高橋美加委員(立教大学法学部教授)は、「業界ごとに分からない部分を明確にすべき」とも主張している。
 遠山優治委員(日本生命保健相互会社調査部上席専門部長)は、「画面をスクロールしないと契約内容を見ることができないケースもあるので、サイト上にPDFなどを添付する必要がる」と指摘した。平尾嘉晃委員(弁護士)も、「ECでの取り引きは、契約内容を事前にURLなどで貼り付けることもできる」と述べた。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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