楽天、ヤフーがアマゾン化/”非アマゾン”領域が勝負の鍵か

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 楽天やヤフーは、ECモールのユーザーインターフェイス(UI)や配送において、”アマゾン化”を進めている。「楽天市場」やヤフーが新設した「PayPay(ペイペイ)モール」では、「アマゾン」のように商品画像の背景を白抜きに統一するように促しており、「アマゾン」に負けない配送サービスを目指した品質向上策を講じている。ECに不慣れなリアルからの新規顧客の流入増加や、スマホがメインチャネルとなっていることを受け、UIや配送において、「アマゾン」のようなシンプルで機能的なサービスを目指す。”アマゾン化”は「アマゾン」に負けないための守りの戦略といえる。一方、攻めのポイントは、アマゾンが積極的に参入しない、”携帯キャリア”や”スマホ決済”の領域にある。楽天とヤフーは出店者の理解を得て、いかに”アマゾン化”を進められるかも勝負の鍵となりそうだ。

■ペイペイがアマゾン化

 「楽天市場」や「ペイペイモール」、「アマゾン」に出店するA社は、「ペイペイモール」のアマゾン化を指摘する。
 「『楽天市場』のアマゾン化は以前からいわれていたが、ヤフーの『ペイペイモール』も『アマゾン』を意識した仕様になっている。サイトのデザインはテンプレートで縛られているし、画像を白抜きするようにいわれている。『ヤフーショッピング』では自分の店舗内を回遊させるためのコンテンツを配置できたが、『ペイペイモール』ではそれができないため、回遊率が落ち、PV数は減少した」(A社)と言う。
 画像の背景白抜きのルールは罰則規定がないこともあり、現状ではあまり徹底されていないようだ。


■返品対応を14日間に

 「ペイペイモール」は、「アマゾン」の強みである配送や返品サービスも強化している。出店者には実在庫を登録し、注文後すぐに発送できる体制の構築が求められている。「アマゾン」は直販商品については、商品到着後30日以内であれば返品・交換に対応しているが、「ペイペイモール」は商品到着後14日以内の返品・交換に対応している。
 「『ヤフーショッピン』では返品・交換の規定は店舗任せだった。当社は7日以内で設定したが、『ペイペイモール』では14日以内に拡張しないといけないので、サービスを不正に悪用する人が出ないか心配だ」(A社)と話す。


■理解を求め全国行脚

 楽天は18年7月、出店者向けイベント「楽天EXPO」において、「ONE構想」を発表した。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月7日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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