埼玉県/家具通販で不正取引/会社名など架空、調査内容公開

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 埼玉県は10月15日、通販事業を手掛けるNEW(本社埼玉県、小澤正義代表)が不正な取引を行っているとして、調査概要を公開した。「クレジットカード決済したが商品が届かない」「注文商品と違うものが海外から届いた」などの声が寄せられていた。調査の結果、サイトの会社概要にある会社名や所在地が架空の情報であることが判明した。
 埼玉県は9月26日付で資料の提出を要求。条例に基づき10月10日を回答期限としたが、提出はなかった。今後も被害が増える恐れがあるため調査内容を公表した。
 埼玉県県民生活部・消費生活課によると、県民からの相談件数は4月から寄せられており、12件の相談があった。ECサイトではクレジットカード決済のみに対応しており、寄せられた相談内容としても決済に関するものが多かった。
 同社が運営していたのは、ソファの販売をする「VIP STORE」、靴やかばんなどを販売する「Outlet VIP」、パソコンなどの販売をする「Smart Device」の3サイト。埼玉県が調査したのは、「VIP STORE」のみになる。いずれのサイトも現在は閲覧不可となっている。
 「VIP STORE」ではサイト上で「もうすぐ終わる ●●時●●分●●秒」とタイムリミットを掲載。表示期限内に商品を購入すると特別に値引きされた額で購入できるように見せていたが、実態は常に9800円で商品を提供していた。サイト上では、休業日欄に「365天受付」と記載、サイト内の表記が部分的に日本語ではなかった。
 公開していた所在地は、医薬品や福祉用具の販売事業などを手掛けるフロンティア(本社大阪府、重森裕之社長)の春日部営業所だった。フロンティアはホームページ上で「住所地が当社春日部営業所の住所と同じであるものの、当社とは全く関係のない会社」だと訴えている。
 通常、不当取引の条項に抵触する案件は特商法などに分類され、事業者に弁明の付与がある。「所在地を調査した結果、存在しないことが分かった。被害の未然防止に向け、県民への啓発を行うためにも調査内容を公開した」(県民生活部・消費生活課)と言う。こうした形での調査概要の公表は埼玉県として初めての取り組みとなる。
 「誠実な通販事業者と、所在地を勝手に使用された会社の両方に迷惑がかかっている。消費者に対しては、困った際には消費者相談窓口や消費者ホットライン((電)188)に相談するよう働き掛けていく」(同)と言う。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ