〈ODR活性化検討会〉 裁判外紛争をオンライン化/EC事業者の活用も期待

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 政府は9月27日、訴訟手続きによらない紛争解決を目指す、裁判外紛争解決手続き(ADR)の一種「オンラインでの紛争解決(ODR)」の導入・活用を目指した、ODR活性化検討会を開催した。紛争解決手続きにおいてAIやITツールを活用することにより、手続きの簡略化や利便性向上を目指す。国内プラットフォーマーやEC事業者による活用も期待される。顧客満足向上などにつながる見込みだ。
 ADRは裁判と比べ、コストがかからず、早期解決が期待できるといった長所がある。ODRに適用する法律としては、ADR法の改正を視野に入れている。ADR法で、書面交付や対面でのやり取りを義務付けている部分を、オンラインでも認める方向で緩和する。
 国内のADRについては、159の認証機関がある。消費者庁など行政機関による行政ADRも行われている。17年度の全体受理件数は980件で、近年、減少傾向にあるという。現状の問題点として、電話や対面での連絡が中心であるため、利便性の悪さや情報伝達の不十分さなどが指摘されている。オンライン上で受け付ければ、営業時間にかかわらず対応できるため、顧客満足の向上にもつながるという。
 諸外国では活発にODRを活用している。米国のグローバルECモール「eBay(イーベイ)」はODRのソフトフェアを開発し運用している。年間6000万件の紛争処理実績があるといい、BtoCの越境紛争にも対応している。
 同日の検討会では、検討項目を提示したほか、IT・AI活用のニーズ、諸外国の状況について確認した。委員にはヤフーの政策企画統括本部・杉田萠奈氏や、一般社団法人ECネットワークの沢田登志子理事などが就任している。
 諸外国では事業者による活用実績があることから、「プラットフォーマーやEC事業者にもODR導入を検討してほしい」(内閣官房日本経済再生総合事務局・川村尚永参事官)と話している。
 検討会は、20年2月下旬まで毎月実施する。次回は10月23日に実施する予定。今回の議論を踏まえた論点整理と、分野別の現状と課題を確認する。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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