東京都/高齢者相談が全体の4割に/定期購入、住宅関連も増加

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 東京都はこのほど、消費生活総合センターや市区町村の消費生活センターに寄せられた平成30年度(2018年度)における消費生活相談概要を公表、60歳以上の高齢者の相談件数が全体の4割を占めた。60代女性による化粧品通販の定期購入に関する相談が増加したほか、呉服や宝飾品などの展示会販売による次々販売や過量販売に関する相談も目立った。訪販・通販企業の対応が問われそうだ。
 全体の相談受付件数は前期比17.6%増の13万9215件となり、5年ぶりに増加に転じた。全体の相談件数が13万件を超えたのは11年ぶり。そのうち東京都が2万9384件、区市町村が10万9831件だった。
 相談件数が前年に比べ2万件ほど増えたのは、60代以上の高齢者の相談増加によるもの。高齢者の相談は同49.6%増の5万6073件が寄せられた。高齢者の相談が全相談に占める割合は40.3%となった。
 契約当事者の年代別の構成比を見ると、「70代以上」が最も多く23.7%に。契約当事者の職業別の構成比では、「給与生活者」が最も多く34.3%を占め、「無職」の23.2%を上回った。
 商品・役務別で見ると、最も多い相談は「商品一般」で、架空請求の相談が急増。屋根や排水管などの住宅工事の訪問販売による「工事・建築・加工」が同14.6%増の1964件だった。今年から販売増加が見込まれる「蓄電池」に関する相談は現段階では目立っていないようだ。
 50~60代の女性で、化粧品の「定期購入」に関する相談も前年の約1.8倍と急増。男女別では、女性が7割で、年代別では、50代が最も多いものの、前年と比較すると60代以上からの相談が増えた。「肌のケアに関心の高い世代が、スマホで注文することが多くなったことで増えたのではないか」(百瀬篤相談課長)とみている。定期購入に関する対応については「ウェブサイトが適正なのかを確認した上でその旨を伝えている。都民に対しては、表示を見逃さないように定期的に注意喚起している」(同)と話す。
 高齢者に対する「次々販売」や「過量販売」に係る相談件数も減っていない。昨年度は456件が寄せられた。電話による勧誘で、展示会などに来店を要請され、高額な呉服や宝飾品などを割賦販売で契約するケースでは係争中のものもあるという。


■若者の相談は減少傾向

 一方で、若者に関する相談件数は減少傾向にある。29歳以下の若者の相談件数は同2・9%減の1万3240件で、全相談件数に占める割合は9.5%にとどまった。「親に知られたくない」といった理由で電話による相談を控える若者の傾向が背景にあるという。
 前期と比べて55%増と伸びが突出したのは、「簡単な作業で月に数百万円稼げる」などと広告し、副業・投資で高額収入を得るためのノウハウと称して販売される「情報商材」に関するもの。相談件数は1304件で、4年前と比べて5倍となった。相談の約7割が、ネット通販による契約という。
 近年は、SNS広告が誘引となるケースなど、SNSが関係した相談の割合も増えている。契約購入金額では、50万円未満の契約が6割を占めるが、100万円を超える契約も12%ほどあった。契約者の年代別では、20代の相談が前年の1.5倍に増加した。友人や先輩から誘われ、断り切れずに借金をさせて連鎖の契約を迫る「後出しマルチ」に関する相談も依然として目立つという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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