中国政府/EC取締まり強化を発表/C2C―EC減速の予想も

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 中国政府はこのほど、1月に施行した電子商取引法について、規定を確実に実行させることを目的としたガイドラインを公表、ECの監督管理を強化すると発表した。ガイドラインでは、情報公開義務に違反した経営者の取り締まりについてなど、ECの具体的な取り締まり方法を規定している。中国当局によるECの取り締まりが強化されることで、「タオバオなどの中国CtoC―EC市場が減速していく可能性がある」と予測する越境ECの支援事業者もいる。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、「2019年のインターネット市場の監督管理特別行動方案」は、中国政府の国家市場監督管理総局など8部門が6月17日に公表した。同ガイドラインでは、「中国電子商取引法が規定する『電子商務経営者』の市場主体登記の監督」「微商(ウィーチャット)などのアプリで商品を販売するEC事業者や越境EC業者に対する規律の強化」「『電子商プラットフォーム経営者』に出店事業者の情報の真実性を確認すること」などを事業者に求めている。今後は同ガイドラインに基づき、政府の各部門がEC事業者の監督管理の強化を進めるとみられる。
 同ガイドラインの発表以降、それを原因として、中国向け越境ECを展開する資生堂やポーラ・オルビスホールディングスといった大手企業の株価が減少している。ただ、美容機器や化粧品を中国向け越境ECで展開する複数の事業者に聞いたところ、同ガイドラインの発表による具体的な影響はまだないとしている。
 天猫(T―モール)やタオバオなどの中国ECモールの市場調査を行っているNint(ニント、本社東京都、吉野順子社長)も、同ガイドラインによる直接的な影響はまだ見られないとしている。ただ、19年に入ってから、中国EC市場での日本商品のCtoCの流通規模は減少傾向にあるという。
 ニントによると、18年度(18年4月―19年3月)のアリババの越境ECチャネル全体を見ると、CtoCモールである「タオバオ」の流通規模が、78%と高い。ただ、中国政府が、非正規流通の監督を行うことにより、CtoCの流通規模が減速する可能性があるとしている。ニントでは、「日本メーカーが中国向けECで展開する場合、まずはバイヤー経由でCtoCで認知度を高めて、そこからモールなどに本格的に出店するケースが多い。今後は、CtoCのバイヤーが減少するため、日本メーカーが有力なバイヤーを新たに開拓していく必要がある」(吉野順子社長)と話している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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