消費者委員会 〈法整備が不可欠〉/W・G報告書で対応求める

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 消費者委員会は6月13日、「消費者委員会本会議」を開催し、「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」の報告書を提示した。悪質商法や不当な取引行為に対する対応の徹底を求めている。
 市場を公正に機能させるため、事業者の自主的取り組みや消費者の主体的な行動などの普及、民事ルールでの解決を図りつつ、それらの手段だけでは対応できない悪質商法や不当な取引行為に対して、行政の厳しい対応が必要だと強調した。未然に被害を防ぐ行政規制の役割も重要としている。
 報告書では「取引が多様化し、隙間事案への対応が問題視されてきた。隙間事案の後追いを防ぎ、発生している悪質商法に対して実効的な規制を可能にし、取引場面を全体的に効力を持つ立法対応と法整備を検討すべき」と主張している。
 法執行の面では、違法収益のはく奪や制裁金などの制度整備が遅れていることから、強化が必要とも主張している。対象の範囲を拡大し、制裁金の上限を上げることも検討すべきとした。
 従来前提としてきた「平均的な消費者像」を見直す方針も提示した。さまざまな要因で合理的な判断ができず、消費者被害に遭いやすい消費者を「ぜい弱性」を有する消費者と定義した。
 高齢者や認知上の障害を有する人、子どもなどは知識や判断力、経験が不足しているなどの要因から、被害に遭いやすい人を「継続的ぜい弱性」があるとした。
 さらに、適切な判断ができる消費者も、市場の特徴や取引の性質、勧誘内容などにより、合理的な判断ができなくなる場合もあり、これを「一時的ぜい弱性」と定義づけた。
 事業者と消費者の情報格差、交渉力の格差だけでなく、「ぜい弱性」の影響も是正し、被害予防・救済のための法整備が不可欠と結論付けている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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