〈消費者行政〉 若者の消費者トラブル防止に本腰/SNSでの相談機能を検討

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 消費者庁や地方自治体、消費生活センターなどの消費者行政機関が、消費者トラブルに巻き込まれやすい大学生といった若者に対する対策に本腰を入れている。消費者庁は3月27日、若者が消費生活相談を利用しやすい環境の整備を目的とした研究会を発足。年内に計4~5回の開催を予定し、年内をめどに、報告書「相談マニュアル案」を取りまとめる。東京都でも、民法の成年年齢の引き下げを踏まえ、学校や家庭における消費者教育の重要性を訴え、ネットワークビジネス(NB)やマルチまがい商法、SNSをきっかけとした消費者トラブルの未然防止策の導入を検討していく。訪販・通販企業は契約対象が若者である場合、消費者トラブルの未然防止に向けた主体的な取り組みが一層必要となる。

 消費者庁が今年3月に立ち上げた「若者が活用しやすい消費生活相談に関する研究会」は、消費者庁が徳島県に事務所を置く「消費者行政新未来創造オフィス」が主導する。研究会は非公開で行われ、計4~5回の開催を経て、年内に報告書をまとめる。
 第1回の研究会の資料ではここ数年、10~20代の若者の相談件数が減少傾向にあることを指摘。さらに、トラブルに遭った際の行動傾向として、年齢が下がるにつれて消費生活センターの利用が減る傾向にあることを問題提起している。
 消費者庁が最も懸念しているのが、2022年に予定されている成年年齢の18歳引き下げに伴い、知識や経験の乏しい18~19歳による消費者トラブルが増加するのではないかという点だ。消費者庁の同オフィスが17年~18年にかけて開催してきた「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の報告書には、「15歳~19歳の相談件数に比べ、20歳~24歳の相談件数は約2倍で推移している。15年までは、20歳~24歳の相談件数が25歳~29歳の相談件数よりもやや少ない傾向にあったが、16年を境に逆転している」と明記されている。
 同庁では、こうした現状を踏まえて電話に代わる手段として、SNSを視野に入れた消費生活相談が可能かどうかを主軸に検討に乗り出した。消費者庁によると、この検討案において法改正を行う予定はなく、報告書を元に消費生活相談窓口の「運用マニュアル」を導入して、一部エリアで試験的な運用を行う考えだ。
 消費者庁は3月27日に開催した研究会の議事録をこのほど公表。若者の消費生活相談の現状とSNSの利用について事務局から報告があった後、厚生労働省や滋賀県大津市、消費者支援機構関西といった行政・団体が、いじめや日常生活についての若者からの相談をSNSで受け付けた事例の運用実績を説明した。

(続きは、「日本流通産業経済新聞」5月16日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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