〈個人情報保護法〉 改正案が閣議決定/中小企業も個人情報取扱事業者の対象に

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匿名加工情報」作成の仕組み

匿名加工情報」作成の仕組み

政府は3月10日、個人情報保護法の改正案を閣議決定した。ビッグデータの活用は安倍政権の成長戦略の柱の一つとして捉えられ、個人情報保護法の改正に注目が集まっている。個人情報をビジネスに有効活用したい事業者や事業者団体と、消費者保護に慎重を期す声の間で折り合いをつけ、個人情報の提供に関する緩和と制約の内容が盛り込まれている。専門の第三者機関も新設される方針だ。保有する個人情報が5000人以下の事業者も個人情報取扱事業者としてみなされるようになるため、中小企業も例外ではなくなる。

委員会メンバー構成がカギ

 現行の個人情報保護法は、個人情報の定義が分かりにくい。定義を明確にすることとビッグデータを活用しやすくすることを目的に改正案が作成された。
 個人情報の定義は「特定の個人を認識することができるもの」「ほかの情報と容易に照合でき、個人を識別できるもの」となっている。
 「特定の個人を認識することができるもの」とは、氏名、住所、生年月日のほか、指紋や顔認識データなど個人の体の一部の特徴を電子計算機のために変換した符号、携帯電話番号や免許証番号など、対象者ごとに異なるものに付される番号が該当する。
 販促やCRMにビッグデータを活用する動きが進む現在、個人情報を保護しながらも、個人情報の有用性を確保するために「匿名加工情報」という整備策を講じる(図表)。
 例えば通販会社が顧客から取得した個人情報をほかの事業者など第三者に提供する場合、「特定の個人を認識することができるもの」を削除し、第三者に提供する旨をホームページなどで公表しなければならない。
 法案が通れば来年1月に新設される「個人情報保護委員会」に匿名加工情報を作成することをあらかじめ届け出る必要がある。匿名加工情報は委員会の定める基準に従って作成する。
 また、第三者に匿名加工情報を渡す際は「匿名加工情報」であることを明示しなければならない。受け取った事業者はほかの情報と照合したり加工方法を取得したりすることは禁じられる。
 個人情報の提供を受けた事業者は経緯や日付などの記録が義務付けられる。ベネッセの個人情報流出問題などを受け、個人情報データベースを不正な利益を図る目的で提供したり、盗用する行為を処罰対象とした「データベース提供罪」も新設する。

(続きは本紙3月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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