みらい住宅開発紀行 〈18年12月期業績は増収見込み〉/コンプライアンス経営を推進

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みらい住宅開発紀行のトップページ

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 外壁塗装などを手掛けるみらい住宅開発紀行(本社大阪府、中積康至社長)の業績が好調だ。18年に大阪・堺支店と千葉支店を開設したことで18年12月期は増収となる見通しだ。業績好調の背景には、コンプライアンスの徹底を促す経営方針がある。
 みらい住宅開発紀行は2008年創業。設立から6年間は、太陽光・オール電化事業を手掛けてきたが、14年に外壁や屋根塗装に事業をシフトさせた。社員は約100人で、新卒採用も毎年約10人前後行うが、社会経験のある中途採用が中心だという。
 新規顧客の獲得では、地域を絞ったドアツードアを展開。営業地域を絞る理由については、「再勧誘の可能性もあり、断られている消費者宅を正確に把握するため」(コンプライアンス推進室)と話す。支店内で顧客情報を共有することでトラブルの未然防止に努めている。
 ドアツードアでアポイント専門社員が消費者宅を訪問し訪問日を決める。その後、別の契約担当社員(クローザー)が改めて訪問し、外壁塗装の説明を行う流れだ。
 クローザーには、コンプライアンスに係る社内基準をクリアしたスタッフのみが配属される。一支店当たり3~4人のベテラン社員を中心に、クローザーとアポインター約10人で構成している。


■説明時は同居家族の同席を徹底
 アポイントの際は、必ず同居家族の同席を求める。アポイント取得時に特に注意しているのは、無理なアポイントの獲得だ。「再勧誘の禁止規定を徹底し、断られたらすぐに引くように」(同)という指導を徹底している。消費者との契約も慎重に行っている。クローザーが説明した後に消費者が契約の意思表示をした場合、別日程で再度訪問して契約する体制を整備する。あえて別日程にするのは「消費者に再度考えて頂く時間を設けるため」(同)と説明する。
 クローザーの説明を受けて消費者から「すぐに契約したい」という要望があった場合は、現場で判断せずに、本社が契約者に電話で意思確認を行い、問題がない場合のみ、その場で契約を行うことを徹底する。70歳以上の高齢者が契約者の場合は、家族の同意書を求めている。


■契約前に確認電話を実施
 外壁塗装は伝えるべきことが多く、詳細な説明が必要のため、長時間勧誘になる。そのため、2時間を超えた時点で「話が長引いておりますが、このまま継続しても良いですか」と確認する。また、アポイント時に商談時間について「1時間から1時間半をお願いします」と事前に伝えるように指導しているという。
 契約時には、営業マンが本社に電話をする「契約前確認電話」を徹底。本社社員(相談窓口のスタッフ)が契約者に、コンプライアンス上の問題がなかったかどうかを確認している。外壁塗装の見積書についても、透明性を高めるため、地域の職人に依頼する金額や足場代、塗料の価格など詳細を明記する。


■業界団体の相談窓口の周知徹底
 アフターフォローについては、契約者への定期的な訪問は控え、お客さま相談窓口の案内を行う。さらに、加盟する公益社団法人日本訪問販売協会(事務局東京都)や一般社団法人全国直販流通協会(事務局東京都)のお客さま相談窓口を案内するなど、会社への電話をちゅうちょする契約者を想定し、複数の窓口を案内する。未契約者についても案内を徹底させているという。
 社員教育は、毎月初めに全社員が参加する全体会議の中で行う。コンプライアンスに関する内容や営業社員のアポイントの際の改善点、接客スキルなどについて研修する。毎月の会議は、18年11月から、拠点数が9カ所に増えたこともあり、東日本は東京、西日本は大阪の拠点でそれぞれ開催しているという。
 毎月社内報を発行し、お客さまの声を掲載する。「良い話だけではなく、クレームなどお叱りの声も共有するように努めている」(同)と話す。
 最近では、コンプライアンス強化の姿勢が受け入れられ、契約者からの紹介による新規契約も増えてきたという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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