政府/食品リコールの届け出義務化へ/食品表示法改正案を閣議決定

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 政府は11月9日、食品の自主回収時の届け出を義務化する内容を盛り込んだ、食品表示法改正案を閣議決定した。食品に、アレルゲンや消費期限など、安全性に関する情報が欠落していたり誤表示されていたりといった場合に行う自主回収が対象となる。いわゆる健康食品も対象となる。開会中の臨時国会に提出した。
 6月に成立した改正食品衛生法でも、異物混入などがあり回収をする場合は、届け出が義務付けられている。ただ、小麦やカニなどといったアレルギーを起こす可能性がある物質が混入して回収する場合や、消費期限の記載ミスで回収する場合などについては、事業者が自治体の条例に基づいて届け出る例はあるものの、法律上の義務はなかった。
 食品表示法改正案では、理由を問わず、食品の回収時の届け出を義務化する。具体的には事業者が、食品リコールの情報共有システムに、回収に関する情報を入力する。同システムは、6月の食品衛生法改正で設置が定められたもので、消費者庁が厚生労働省と連携して新設する。
 システムには、「商品の名称」「賞味期限」「製造者」「自主回収の理由」「健康への影響」「商品のパッケージの表示枠内の写真」といった情報を入力する。システムに入力された情報を、政令で認定した自治体が把握し、消費者庁に報告。消費者庁が消費者に対して公開するという流れになる。
 消費者庁によると、16年4月~17年3月までの1年間で、アレルギーや消費期限の表示に関して、全国140の自治体が、条例に基づいて自主回収の報告を受理した件数は549件だったという。自治体が把握していない自主回収もあるとされている。
 自主回収を行う際に、行政機関への届け出を行わない場合や、虚偽の届け出を行った場合については、50万円以下の罰金が課されることになる。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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