〈改正省エネ法 12月施行〉 通販にも省エネ義務/計画や年次報告を提出

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 改正省エネ法が12月1日をめどに施行される。「荷主」の定義が改められたことにより、通販事業者に対しても省エネに向けた取り組みが義務付けられる(表参照)。事業規模によっては省エネ計画の提出や年次報告の義務が発生する。
 改正省エネ法は、荷主を「輸送方法等を決定する事業者」と定義する。販売商品の配送を宅配事業者に委託する通販事業者は改正省エネ法上、荷主となる。現行法は、荷主を「貨物の所有者」と定義するため、商品の所有権を購入者が持つ通販事業者は対象外だった。
 通販事業者を含めた荷主のうち、年間輸送量が3000万トンキロ(輸送物の重量に輸送距離を乗じた貨物ごとの値を合計した値の単位)以上の事業者を「特定荷主」と定義。「特定荷主」は輸送に伴うエネルギー消費量を5年間で年平均1%ずつ削減するための計画策定・提出や、計画の進捗を毎年1回(6月末)報告する義務が課せられる。
 宅配事業者との契約がなく、輸送の方法を決定しないECモール運営会社やCtoCサービスの提供者は対象外となる。


■報告は20年から
 経済産業省・省エネルギー庁は「まず荷主には自らの荷物がどれくらいの重量で、どのくらいの輸送距離なのかを計測する必要がある。現在、荷主向けのガイドラインを制作している」と説明する。
 来年1年間は計測に充てる。20年の4月1日から適用が始まる。特定荷主は4月末までに届け出を行い、同年6月末には定期報告書で19年におけるエネルギー消費量を報告する義務がある。
 5年間におけるエネルギー消費量の削減率が平均1%未満の場合、原因を報告する義務が発生する。原因の正当性が認められない場合は、行政が立ち入り検査を行う。その後、改善が見られない場合は勧告となる。
 エネルギー庁は「商品の輸送に伴うエネルギー消費量が3000万トンキロを超える通販企業は大手に限られると考えている。しかし、『特定荷主』に報告の義務があるだけで、事業規模にかかわらず、エネルギー消費量を計測し、省エネ化を図る義務は共通している」と義務を強調する。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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