経済産業局/通販・訪販向け啓発事業を本格化/楽天、ヤフーと法令セミナー開催も

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 経済産業省の全国の出先機関である経済産業局がコンプライアンスを軸とした事業者啓発活動を本格化させている。中部経済産業局では、今年6〜7月に、日本政策金融公庫や楽天、ヤフーなどと合同で、EC(ネット通販)向けのコンプライアンスセミナーを開催。東北経済産業局は、18年度から業界団体と共同で事業者啓発を本格化していく。四国経済産業局では、経済産業施策や特定テーマの説明を行う「出前サービス」を開催する。経済産業局は消費者庁の出先機関として、特商法の行政処分の執行権限も有しており、執行担当職員が不足しがちな各地方自治体の立ち入り調査(検査)や行政処分を合同で行うことで迅速な執行につなげる。産業振興の役割を担う経済産業局が業界の健全な発展に向けて重要な役割になるか期待される。

■法令解説セミナー目立つ
 経済産業省が担う使命や役割について、同省ホームページでは「企業や個人といった各経済主体がポテンシャルを最大限に発揮できるような経済社会システムを創出することにより、日本経済・産業の活力を一層向上させることが任務」と明記。事業の健全な発展を担っていると説明している。
 市場の拡大が進むEC事業者向けにコンプライアンスセミナーを開催するのが、中部経済産業局(所在地名古屋市)。今年6〜7月にかけて、楽天やヤフーと共同でEC初心者向けのセミナーを開催した。中部経済産業局では「初めての取り組み」という。
 消費生活相談で通販のなかでEC関連に対する相談が年々増加傾向にあり、セミナーの開催に至った。「特商法の知識がないままECを行う事業者が多く、セミナーを通じて啓発することで消費者トラブルを未然に防ぐ」(中部経済産業局)としている。
 四国経済産業局(所在地香川県高松市)では、経済産業施策や特定テーマの説明を行う「出前サービス」を開催する。
 出前サービスは、業界団体などから特商法の解説や四国の経済状況などについて経産省が所管する内容であれば対応するもの。「例えばJADMAや訪販協からの申請があれば四国管内で出前サービスを開催することができる」(四国経済産業局)と話す。
 東北経済産業局では18年度から事業者への啓発活動を始める。業界団体と合同でのコンプライアンス研修会の開催を予定。「業界団から要請があれば積極的に検討したい」(東北経済産業局)と話す。
 一方で、北海道や関東、近畿、中国、九州などでは現在のところこうした取り組みの予定はないという。
 「現状の通常業務で余裕がない」(関東経済産業局)といった声もあり、事業者支援に対する温度差が見られた。

■訪販1.9%減、通販5%減に
 経済産業省では、特定商取引法をはじめとする所管する法律に関する「消費者相談室」を設置する。本省のほか各経済産業局で、一般消費者だけでなく、全国の消費生活センターの相談員からも法律の解釈についての問い合わせを受け付ける。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月13日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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