厚生労働省/薬機法に課徴金導入か/化粧品や一部健食に適用の可能性

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 薬機法違反時の罰則として課徴金が導入される可能性が高まってきた。厚生労働省では現在、薬機法の改正に向けた議論が進んでおり、議論の中では、委員らから「医薬品の広告についても、景品表示法の例に倣って、課徴金制度を導入すべきだ」とする声が上がっているのだ。医薬品や化粧品、医療機器だけでなく、「無承認無許可医薬品」と判断された一部の健康食品にも、運用次第では課徴金が適用される可能性がある。早ければ19年の通常国会にも、課徴金制度を盛り込んだ薬機法改正法案が提出される見通しだ。

■複数委員が「課徴金」支持

 6月7日に開催された薬機法の改正について議論する医薬品医療機器制度部会の第3回会合では、「医薬品の流通」の論点から、医薬品の広告規制について、活発な議論が行われた。議論の中で事務局は、高血圧症治療薬の効果に関するデータが改ざんされていた事例や、食品でありながら医薬品のような効果効能を標ぼうする未承認薬の広告・販売を行っていた事業者が警察に検挙された事例などを紹介。こうした事例を基に、議論が進められた結果、委員らの意見は「違法行為によって得られた経済的利得を徴収すべきである」という点でおおむね一致したという。
 委員の一人である東京大学大学院の山本隆司教授は、景品表示法の課徴金制度の導入を例に挙げ、医薬品にも導入すべきであると提案。津田塾大学教授の森田朗部会長ら4人の委員も、賛同した。
 事務局を務める厚労省の医薬生活衛生局総務課の担当者は「個人的には薬機法に課徴金を導入することに対して、ポジティブな意見交換がされていると捉えている」と話しており、課徴金導入の方向で薬機法改正が進められそうな情勢だ。


■違法収益の徴収が目的

 厚労省によると、医薬品の広告規制の議論の目的は、「不当な広告表示をして利益を得ているにもかかわらず、事業者が受ける罰則が著しく均衡を欠いている現状を是正することだ」(同)としている。現行の薬機法の罰則としては刑事罰や、改善命令などの行政処分が用意されているが、違法収益をはく奪する仕組みはなかった。
 厚労省は制度部会のために作成した資料の中で、「違法行為によって不当な利益を得た企業に対しては、その収益を取り上げるべきという指摘がある」と言及。同資料の中では、17年の通常国会で、国会議員から、「(医薬品の広告について)売り上げを全部持って行っている。逃げ得になったということについて、何か考えなければならない」という発言があったことも示している。


■化粧品も課徴金の対象に

 医薬品だけでなく化粧品や医療機器も、薬機法の課徴金の対象となる可能性があるだろうか。

(続きは、「日本流通産業新聞」8月23日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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