経済産業省/AIの誤認識は契約無効/AIスピーカー経由の注文で指針

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 経済産業省は7月27日、人工知能を使った音声認識スピーカー(AIスピーカー)を経由したネット注文の際の、音声の誤認識や、発注者の言い間違いによる契約の有効性について、基準を明確にした。同日発表した「電子商取引及び情報材取引等に関する準則(※)」に、AIスピーカーに関する新規の見解を盛り込んだ。
 準則では例えば、テレビや幼児の音声をAIスピーカーが誤って認識して注文してしまった場合、契約が無効になるという解釈を示している。
 準則では、AIスピーカーが音声を誤認識した場合、「注文の意思表示がない」と解釈されるので、契約は成立しないとしている。事業者が、契約が成立しないといった事態を防ぐためにAIスピーカーが認識した注文内容をユーザーに通知し、ユーザーから同意を得られた場合に注文を確定するという措置を講じることが有用であるとしている。
 具体的な音声の誤認識の事例として、「AIスピーカーが、テレビドラマの中でのAIスピーカーを使った発注の場面の音を拾って認識した」場合や、「幼児が母親に菓子をねだっている音声を発注と誤認識した」場合などを、例示している。
 発注者が言い間違いをして誤発注するケースについては、民法95条本文を適用し、無効となるとしている。売買の目的物は契約における重要な要素であるとし、目的物の表示上の錯誤があった際は無効となるとしている。
 言い間違いが無効になるケースとしては、「『タイヤ』を注文しようとして『ダイヤ』と言ってしまった」場合や、「子供が好きなキャラクターのおもちゃを注文しようとしたら、記憶違いで似たような別のキャラクターのおもちゃを注文した」場合などを具体例として挙げている。



 ※電子商取引及び情報材取引等に関する準則…ECや情報取引に関する法的問題について、関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにする法解釈の指針。法的拘束力はないが、ECに関連した裁判などで、法的根拠として用いられることが多い。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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