資生堂 〈ECとデータマーケ強化へ〉/20年までに連結EC売上比率を15%に

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 資生堂の魚住雅彦社長は、3月5日の中期経営計画の発表の場で、「EC事業を強化する」と語気を強めた。資生堂は、EC事業を強化することにより、20年までに連結売上高に占めるECの比率を現在の8%から15%まで高める方針を、中期経営計画の中に盛り込んだ。経営計画では、世界の主要なECサイトとの連携を強めることや、そのためのITインフラ整備のため、20年12月までに270億円を投資することも明らかにした。
 資生堂の経営計画では、ECの売上比率を、20年までに国内売り上げの10%弱まで高めるとしている。中国については、ECの売上比率を40%に高めることを目標に掲げている。顧客のニーズに関するデータや肌分析結果などを、巨大なデータマーケティングプラットフォームの中で活用していくことも計画している。
 17年12月期の国内EC売上高については公表していないが、本紙推定で100億円。これを20年までに140億円にまで高めたいとしている。現在のところ、国内のECは資生堂の自社ECサイト「ワタシプラス」でのみ展開している。魚住社長は「国内は店販を含めた全体の売上額が大きいため、ECだけの成長だけ見ると小さいかもしれないが、ECの比率を10%弱にしていく」と話している。
 注目すべきは中国でのECの展開だ。現在資生堂の中国でのEC売上比率は約26%で、20年までに40%に高めたいとしている。会見の場に立った藤原憲太郎中国地域本社社長は、「ECは、顧客のマーケティングデータプラットフォームだと捉えている。店頭・ECに関係なく、シームレスにさまざまなデータを活用していく。顧客について、適切な時間や場所を選びつつ、化粧品の提案を行っていく」と話している。
 資生堂では企業全体の経営計画として、「デジタルを利用したCRMの強化」を掲げている。17年11月には、資生堂のスマホ用美容情報アプリとECサイトを連携させる仕組みを取り入れた。国内や中国で、こうしたデータを活用したCRMの実績を積み上げることにより、ECと店舗の購買を結びつける仕組みを世界規模で構築していくとみられる。
 資生堂の17年12月の業績は、グローバル売上高が1兆円となり、経常利益は800億円に達している。成長を背景に資生堂は、顧客データを活用した、データマーケティングの基盤を世界規模で確立していきそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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