楽天、ヤフー/大手小売との提携加速/自前主義のアマゾンに対抗

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 楽天は17年12月にビックカメラと家電EC事業を、18年1月に西友とネットスーパー事業を展開すると発表した。ヤフーはイオンと食品ECにおいて提携を協議していると報道された。家電分野が成長しているというが、17年8月にヤマダ電機が出店した影響もありそうだ。楽天やヤフーは、家電分野で先行するアマゾンジャパンに対抗すべく、大手量販店との連携を加速。食品分野でもアマゾンジャパンの侵攻を止めるべく、大手スーパーとの提携を進めている。大手小売り事業者との提携戦略は、自前主義のアマゾンジャパンに対抗する効果的な一手となるか、注目が集まる。

 一部のメディアは2月9日、ソフトバンクと傘下のヤフー、大手スーパーのイオンが共同でEC事業を展開すると報じた。
 食品を中心に、衣料品や日用品など幅広く扱うマーケットプレイス型のサイトを共同で構築すると、具体的な提携内容も紹介されたがイオンの広報は、「現時点ではそのような事実はない」と否定する。
 一方、ヤフーの広報は、「(イオンとの)協業について検討しているのは事実だが、現時点で決定した事柄はない」と話す。提携に向けた話し合いが行われているのは事実のようだ。
 ヤフーの関連会社であるアスクルは17年11月、セブン&アイ・ホールディングス(HD)と共同で生鮮品のECサービス「IYフレッシュ」を開始したばかりだ。アスクルの展開する一般消費者向けECサイト「ロハコ」と、セブン&アイHDのオムニチャネル型ECサイト「オムニ7」の相互送客も実施している。
 イオンと提携するかどうかはともかく、大手スーパーと提携し、生鮮食品の販売体制を強化する方針に間違いはない。

■対抗意識で提携か

 楽天は今年1月までに米国のスーパー最大手・ウォルマートとの提携を発表し、国内では9月までに西友とネットスーパー事業を開始する方針を明らかにした。楽天と西友はともにネットスーパー事業を実施しているが、新サービス「楽天西友ネットスーパー」では物流体制や商品ラインアップを全面的に見直し、再構築する予定だ。
 楽天の三木谷浩史社長は、提携発表の会見で「アマゾンを意識した提携か」と訪ねられると、「競合があると言えばある。ネットが新しい生活のインフラになっている。特に食品や日用品のニーズが高まっている。消費者のニーズに対応するための取り組み」と説明した。
 「アマゾン」への対抗意識を燃やしているのは楽天よりもウォルマートだ。「アマゾン」は米国で高級スーパーを買収し、ネットとリアルでの食品EC事業を展開している。楽天とウォルマートの「アマゾン」への対抗意識が合致し、提携に至ったという見方もできる。
 アマゾンジャパンは17年4月、生鮮食品のECサービス「Amazonフレッシュ」を有料会員向けに開始した。現在の配送エリアは東京や神奈川、千葉の一部地域のみだが、今後対象地域を拡大する計画だ。
 「IYフレッシュ」の配送エリアは都内の新宿区と文京区のみ。ヤフーは生鮮品ECを拡充する一手としてイオンとの提携も視野に入れているのかもしれない。
 楽天は西友の店舗網を生かし、全国でサービスを提供する。楽天のカード会員基盤やポイントサービスを生かし、早期にシェア拡大を図りたい考えだ。

(続きは、「日本流通産業新聞」2月15日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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