健康食品の流通規制強化へ/販売禁止規定の柔軟な適用視野に

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 いわゆる「健康食品」の製造・販売について規制が強化されることになりそうだ。厚生労働省は11月8日に開催した食品衛生法改正懇談会の最終会合で、いわゆる「健康食品」による健康被害を未然に防止するため、流通規制を強化すべきだなどとする報告書案を提示した。報告書案では、短期的な措置として「暫定流通禁止措置」を柔軟かつ機動的に適用できるようにする方針を示している。GMPの義務化などによる実効性のある仕組み作りの必要性にも言及。長期的な措置として、欧州のノベルフード規制のような、食経験のない食品の「上市前のリスク評価」の検討を行うことが必要ともしている。報告書が了承され次第、「暫定流通禁止措置」の運用改善は行われる見通し。来年国会提出予定の食品衛生法改正案にGMPの義務化等が盛り込まれる可能性もあるという。

■規制強化の声続出

 食品衛生法改正懇談会では9月の第1回会合から、食品衛生法の改正案に盛り込むべき要素について検討を進めてきた。
 プエラリア・ミリフィカの危害情報の問題や、健康食品による肝障害の問題が世間をにぎわせたことから、10月4日開催の第3回会合では、委員らから健康食品の流通について規制をすべきだといった意見が続出。規制強化の有無や、具体的な規制の方向性に注目が集まっていた。
 最終会合で提示された報告書案では、いわゆる「健康食品」の安全性確保について、「成分の含有量や製品の品質管理について規制がなく十分でない」と総括。健康食品による健康被害を未然に防ぐために、「法的規制を検討すべきである」とした。

■GMPの義務化も視野に

 具体的な規制の内容として報告案に盛り込まれたのは主に(1)暫定流通禁止措置の柔軟かつ機動的な運用(2)GMPによる安全確保の義務化など、実効性のある仕組みの構築(3)製品上市前にリスク評価を行う仕組み作りーーーの三つだ。
 (1)については報告書の中で健康被害発生時の対応として、「現行の食品衛生法第7条に基づき、いわゆる『健康食品』による被害拡大の防止のため、食品と健康被害との間に高度な因果関係が認められない段階でも、柔軟かつ機動的に該当食品の流通を禁止できるように、運用することが重要である」としている。従来から流通禁止の仕組み自体はあったが、営業の自由に対し大きな影響を与えるものであることから制限的に運用が行われていたという。運用改善後は、因果関係が認められなくても、食品安全委員会が被害拡大の防止のために必要だと認める場合は、暫定的に流通を禁止できるようにすることが想定されている。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月9日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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