自治体の訪販規制/訪販お断りステッカーに広がり/神奈川県も条例で訪問勧誘を禁止へ

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弁護士会がステッカー制作(写真左=奈良、写真右=神奈川)

弁護士会がステッカー制作(写真左=奈良、写真右=神奈川)

 県などの自治体で、消費生活条例を改正し、いわゆる「訪問販売お断りステッカー」に法的効力を与えようとする動きが広がっている。法的効力が与えられると、お断りステッカーを貼った住居(以下ステッカー宅)への訪問販売を禁止したり、違反した事業者に、自治体が指導や勧告、社名公表を行ったりできるようになる。大阪や京都、兵庫、北海道といった道府県の条例ではすでにステッカー宅への訪問禁止が導入されていたが、4月には新たに奈良県でも同様の規制が導入された。神奈川県でも、ステッカー宅への訪問禁止を含む、消費生活条例の改正の動きが現状進んでおり、早ければ18年4月にも改正条例が公示される可能性がある。自治体が訪販規制を強めようとする動きが増えてきており、神奈川県の動きが他の自治体にも影響を及ぼす可能性がある。

神奈川県の条例改正、早ければ18年4月に公布 神奈川県の消費生活審議会は今年8月、ステッカー宅への訪問勧誘禁止などを盛り込んだ、消費生活条例の改正骨子案をまとめ、県に答申した。
 改正骨子案では、「訪問販売等による消費者被害を防止するため、現行条例では明確に規定されない不当な取引行為について明文化するとともに、『訪問販売お断り』などのはり紙等により訪問による勧誘を拒絶する意思を示している世帯への訪問を禁止するなど条例を改正します」と改正の方向性を明記している。ただ、「条例改正の基本的な考え方」には、但し書きとして「事業者の規制の範囲等に配慮することも必要である」とも盛り込まれている。県では、9月27日から10月26日までパブリックコメントを実施、広く意見を募集した。
 神奈川県は「今後のスケジュールとしては、パブコメ結果を12月中に公表する。その後、18年2月の県議会に条例改正案を提出。議案が通れば、最速で18年4月に公示となるのではないか」(県民局くらし県民部消費生活課企画グループ)との見通しを示している。
 当然ながら、反発する業界団体が出てきている。(公社)日本新聞販売協会(日販協、事務局東京都、國吉延男会長)は、訪問営業活動を一律に規制するという方向性について強く反対している。同協会は10月17日、神奈川県に意見書として反対意見を提出。「新聞販売所にとって訪問営業活動による新規読者の獲得は営業活動の根本であり、新聞販売所の経営に重大な影響を及ぼすことは明らか」(同文書)とし、「慎重に検討されることを求める」(同)としている。日販協の神奈川エリアの支部でもそれぞれの名義で同様の意見を寄せているという。
 (公社)日本訪問販売協会(訪販協、事務局東京都、鈴木弘樹会長)は「適正な訪問販売の活動を一律に排除することを意図しているのであれば賛同できない」旨の意見を、パブコメとして提出した。
 一方、訪問販売を行う事業者の動きは鈍い。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月2日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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