機能性表示食品制度/「食経験で安全とは言い難い」/届出の実態調査結果を発表

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 消費者庁は10月16日、機能性表示食品制度の届け出内容に関する、実態調査の結果をまとめた報告書を、公式ホームページ上で公開した。臨床試験の内容や、安全性の確認方法について検証している。報告書では、検証結果に基づき、臨床試験論文の投稿先につきて、「査読の透明性が高い」雑誌を推奨している。サプリメント形状の食品の安全性確認については、「食経験をもって安全だとは言い難い」などと言及している。消費者庁では「報告書の内容を確認・検討した上で、必要に応じてガイドラインの見直しなどに活用していく」(食品表示企画課)と言う。
 消費者庁が公開したのは「機能性表示食品制度における臨床試験及び安全性の評価内容の実態把握の検証・調査事業」の報告書。同報告書は、みずほ情報総研が消費者庁の委託を受け、有識者によるワーキンググループを設置し、取りまとめたもの。検証・調査事業は医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所情報センターの梅垣敬三センター長が委員長を務める検討委員会が実施した。東京農業大学大学院環境共生学専攻の上岡洋晴教授が副委員長を務めた。同委員会では、(1)届出食品を用いた臨床試験論文(2)食経験による安全性評価の適切性(3)安全性審査(4)健康被害情報の収集手法等ーーーの4点について検証した。
 検証に当たっては、「臨床試験」と「安全性検証」の二つのワーキンググループ(WG)を設けた。
 臨床試験WGでは、16年9月30日までに公表された、臨床試験によって機能性を表示する届け出34件について検証を行ったという。
 報告書によると、臨床試験の論文を掲載した学術誌に、当時「投稿規定」が存在したかを調査。その結果、「あり」が26編(76.5%)で、「なし」が8編(23.5%)だった。投稿規定に査読の有無が明記されていたかについては、「明確に記載されている」が27編(79.4%)、「記載されているが不明確」が3編(8.8%)、「記載なし」が4編(11.8%)だった。
 このことから報告書では、根拠論文の投稿先の学術雑誌としては「査読についての方針及び標準査読期間を公開し、査読の透明性が高い雑誌であること」などが推奨されるとしている。
 安全性検証WGでは、16年9月30日までに届け出された機能性表示食品のうち、安全性の確認について「届け出食品又は類似食品による喫食実績のみで安全性の評価が十分と判断された食品」71件を調査対象とした。
 報告書によると、喫食実績に関しては、「大麦」や「みかん」といった食経験が長いものもある一方、わずか数年のものもあったとしている。サプリメント形状の食品については「喫食実績が少ないという特徴が認められた」とし、「実際の喫食実績が乏しく、本来の食品の安全性における食経験が適用できるとは言い難い」などと結論付けている。
 加えて、「販売量がどれだけあれば安全」だという判断基準は「見当たらない」とし、「販売実績が安全性の評価においてどの程度の意味を持つかは定かでない」とも報告している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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