中古品EC企業/成長の鍵は「販売以外の部分」/「買い取り」「出品速度」に焦点

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中古品EC企業各社は、バックッヤード業務の改善に着手

中古品EC企業各社は、バックッヤード業務の改善に着手

 中古品EC企業の躍進が目立っている。本紙の姉妹紙である「日本ネット経済新聞」がまとめた、中古品のインターネット通販の売上高ランキング(2016年調査)によると、上位30社の売上高の合計は前年調査比18.3%増の1361億4900万円となった。前年比が明確な21社中13社が2桁以上の増収を果たしている。業績を拡大している各社は、「買い取り」「出品速度」といった「販売以外の部分」に注力することにより成果を挙げているようだ。ブランド古着のECサイト「ZOZOUSED(ゾゾユーズド)」を展開するクラウンジュエル(本社東京都)は、「買い取り」施策の強化が奏功し、17年4―6月期(第1四半期)の商品取扱高が、前年同期比26.9%増の33億100万円となった。中古ブランド品ECサイトを運営するハグオール(本社東京都)は「出品速度」の改善に取り組んだ結果、2倍に速めることに成功したという。


■クラウンジュエルは、買い取り施策が奏功し成長

 中古品EC業界の中でも、著しい成長を遂げているのが「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」運営のスタートトゥデイ子会社のクラウンジュエル(本社東京都)だ。ブランド古着のECサイト「ZOZOUSED(ゾゾユーズド)」を展開している同社は、買い取り施策を拡充したことが大幅な増収につながった。17年3月期における「ゾゾユーズド」の商品取扱高は、16年11月に新たに導入した買い取り施策が奏功したことから前期比61.8%増の128億7000万円となった。17年4―6月期(第1四半期)についても商品取扱高が、前年同期比26.9%増の33億100万円となるなど、引き続き高い成長率を維持している。
 同社の好調を支えているのは、スタートトゥデイが16年11月からスタートした「買い替え割」というサービスだ。同サービスは、「ゾゾタウン」で購入した商品を下取りし、下取り金額をゾゾタウンでの買い物額から割引するというもの。下取りした商品はクラウンジュエルが「ゾゾユーズド」で販売するというサイクルになっている。クラウンジュエルによると、「今では、買い取り商品の4割が『買い替え割』によるもの」(広報)だと言う。
 買い取り施策を強化し大きな成果を出している企業はクラウンジュエルだけではない。ブックオフコーポレーションの完全子会社で中古ブランド品ECサイトを運営するハグオール(本社東京都)は15年から「同社独自のロッカー型買取システムの展開」「百貨店内での買い取り窓口設置」「訪問買取」といったユニークな買い取り施策を強化し、成果を出している。同社の17年3月期における売上高は、前期比131.2%増の22億4400万円となった。期中に買取ロッカーの設置場所や百貨店の窓口を増やし、買い取り量アップを実現した。商品ラインアップが拡充され、販売にも好影響が生まれたという。17年4―6月期(第1四半期)の売上高についても、前期比34.1%増の6億1200万円となっており成長が続いている。

■ハグオール、出品の仕組み刷新で出品数2倍に

 同社では、「出品スピード」の向上にも取り組んでおり、そのことも増収の要因の一つとなっている。今夏には、画像処理システムの新規導入などを含め、同社独自の出品システムの刷新を実施した。その結果、一営業日あたりの商品出品数がシステム変更前と比べて約2倍に跳ね上がったという。
 同社では、1商品の出品作業を1人の人間が一括で行う仕組みを採用している。出品作業担当者は、検品から写真撮影、商品情報入力までをすべて一人で行う。
(続きは、「日本流通産業新聞」9月28日号で)

ハグオールでは、1商品にかかる出品作業を1人が一括して行う

ハグオールでは、1商品にかかる出品作業を1人が一括して行う

商品情報を入力する画面には作業の経過時間が表示される

商品情報を入力する画面には作業の経過時間が表示される

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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