家具通販会社/自主努力で運賃抑制/倉庫の分散化や梱包を小型化

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運送会社の業務効率化を支援することで運賃交渉を有利に進めた、ぼん家具のECサイト

運送会社の業務効率化を支援することで運賃交渉を有利に進めた、ぼん家具のECサイト

 家具通販会社が自主努力によって、運賃の抑制につなげている。家具のECサイトを運営するインテリアオフィスワン(本社埼玉県、加藤和浩社長)は、商品のサイズや配送距離に応じて倉庫を分散化。各倉庫がある地域の運送会社と契約することでコスト抑制を図っている。家具のECサイトを運営する下村家具(本社奈良県、下村喜昭社長)は、出荷荷物を小型化しており、3辺の合計が260センチ以下になるようにしている。同じく、梱包サイズの縮小を検討しているのは、寝具やインテリアのECサイトを運営している高橋ふとん店(本社徳島県、高橋武良社長)だ。メーカーと協力して布団などの圧縮実験を検討。配送コスト抑制につなげようと考えている。

■商品倉庫を使い分け
 インテリアオフィスワンは、商品のサイズや配送距離に応じて倉庫を使い分けている。各倉庫が所在する地域において比較的運賃が安価な運送業者と契約することで、配送コストの削減を図るためだ。
 倉庫は現在、埼玉・越谷、三重・四日市、福岡・大川の3カ所に分散している。埼玉の倉庫は主に大型商品を保管。三重の倉庫は圧縮マットや分解可能なソファなど、小型化できる商品を保管している。福岡の倉庫は地元のメーカーから仕入れた商品を保管している。
 福岡から関東への幹線輸送は大川配送サービス(本社福岡県、松田恵介社長)に委託している。家具メーカーとの関係が強く、家具の取り扱いに慣れているためだ。インテリアオフィスワンは「大手の運送会社に比べ、安い価格で運ぶことができる」(加藤社長)としている。


■小型サイズに梱包
 家具のECサイト「AKAYA(アカヤ)」を運営する下村家具は、オリジナル商品を中心に出荷荷物の小型化に取り組んでいる。現在、配送商品の約8割を佐川急便に委託しており、「飛脚ラージサイズ宅配便」の最大サイズとなる3辺の合計が260センチメートル以下になるように荷物を小型化している。
 例えば、高さが180センチある本棚は、本体側面の板を2分割にして組み立て可能な設計を施すように工夫している。
 委託先である佐川急便からは運賃の値上げ要請があり、北海道や東北方面への配送コストが「従来と比べて2~3割上昇した」(インターネット事業部・竹田幸三郎事業部長)と言う。
 佐川急便を使って同エリアに260サイズの荷物を送る際の運賃は8250~1万1800円(税抜)。運賃の値上げに伴い、下村家具は商品価格の値上げを実施したが、今のところ売り上げに影響は出ていないという。
 今後、10万円以上の高価格商品の取り扱いを増やして、利益率を高めていきたいとしている。
 寝具やインテリアのECサイト「こだわり安眠館」を運営する高橋ふとん店は、3辺の合計が160センチを超える商品を中心に、商品の梱包サイズ縮小を計画している。メーカーと協力し、布団などの圧縮実験の実施を検討。圧縮後に復元状態のいい素材と悪い素材を見極め、段ボールに入れて配送できる状態にする。このほか商品を包む梱包袋の小型化も検討している。


■午前中の集荷に対応
 家具のECサイトを運営するぼん家具(本社和歌山県、立石幸士社長)は、商品の約8割を午前中に出荷している。運送会社が集荷しやすい時間帯に合わせるためだ。出荷を担当するスタッフは午前7時頃から作業を始めており、午前9時には集荷可能な体制を整えている。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月14日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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