訪販・食品宅配各社/販売員スキルアップ研修に成果/接客レベル向上が他業種との差別化に

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 訪販・食品宅配各社が、販売員への研修に本腰を入れている。業界を問わず人材確保が難しくなる中で、訪販業界は販売員の数が業績を左右するといわれている。働きやすさを中心に労働環境を改善しながら販売員のモチベーションアップにつなげることで、離職防止にも役立てている。ヤクルト本社では、11年から取り組んでいる販売員「ヤクルトレディ(YL)」に対するスキルアップ研修が奏功し、4期ぶりに訪販売り上げが増収に転換。らでぃっしゅぼーやも、16年秋にスタートさせた配送員の資格制度の取得が順調に進んでいる。訪販・食品宅配各社の販売員向けの研修体制について探った。

◆ヤクルト本社/4期ぶり訪販
 ヤクルト本社では、訪販(宅配)事業について(1)処遇改善(2)労働環境整備(3)教育トレーニングの充実ーーーを柱にした17年3月期を初年度とする3カ年計画が進んでいる。
 17年3月期は、YLによる訪販事業の売り上げが4期ぶりに増収となった。販売員の減少傾向は歯止めがかかっていないものの、販売員向けの研修体制でYL1人当たりの販売本数が増加。テレビCMを中心とした広告宣伝戦略もYLの意識向上につながっている。
 ヤクルト本社では、原材料の高騰に伴い、YL売り上げ全体の3分の2を占める主力商品「ヤクルト400」を16年5月に10円値上げした。この値上げによる影響で社内では「販売本数が減少するのではないか」(中野健宅配営業部長)と懸念されていた。値上げによって本数が減れば、YLの販売手数料(収入)が減るという面もあったが、影響はなかった。
 YLの販売手数料の仕組みは、1カ月の収入が15万円を超える「Sタイプ」と10万円以上15万円未満の「Aタイプ」、10万円未満の「Bタイプ」に分かれている。
 11年からは、顧客への接し方や話し方、おもてなしを学ぶカリキュラムを盛り込んだ「絆サークル」を展開し16社の販売会社が導入している。
 16年2月からは、「絆サークル」をさらに進化させ、販売会社単位ではなく、全国の配送センター単位で取り組める内容に再構成した研修プログラム「真心サークル」を立ち上げた。サークルは全6回のプログラムで構成し、現在約半数にあたる約1000カ所のセンターで実施している。「基本対応」と「真心対応」の二つをテーマに掲げ、相手の期待を超えた対応をすることで、よりお客さまと深い関係を構築することを目指す。
 16年は、優秀な販売員のやり取り(ロールプレイング)を収録した「研修用DVD」を本社が制作。各営業所に配布することで、成功事例の横展開を行った。
 こうした取り組みの成果もあり、「Sタイプ」と「Aタイプ」がYL全体の38%となり、前年に比べ7ポイント増加するなど底上げにつなげている。


◆らでぃっしゅぼーや配送員の資格制度を導入
 らでぃっしゅぼーや(本社東京都、国枝俊成社長)は、
(続きは、「日本流通産業新聞」7月6日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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