定期購入トラブル/定期購入に取消のおそれ/経産省が法解釈の基準示す

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 自動的に定期購入が開始されるリピート通販の仕組みが、消費者契約法違反だとして無効になるおそれが出てきている。経済産業省は6月5日、「オンライン販売における自動継続条項は、消費者の利益を一方的に害する条項として無効になりうる」などとする法解釈を発表した。その背景には、「サンプル希望のつもりが定期購入だった」という「勝手に定期購入」トラブルの急増がある。経済産業省としても、事業者に基準を示す必要に迫られていたようだ。

■今後の裁判に影響も

 経産省は6月5日、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂した。準則は経産省による法解釈を示すものであり、拘束力は持たない。ECのような、判例がない最新の事例について、法的な目安を示すことが準則の狙いだ。経産省は「有識者によると、判例のない裁判について、準則が判例に影響する例は多い」(商務情報政策局情報課・岡北有平課長補佐)と話す。
 同準則には、「自動継続条項と消費者契約法第10条等」という項目が新たに設けられた。「自動継続条項」とは、顧客が申し出ない限り、自動的に定期購入コースに移行する契約のことを指す。定期購入申し込みがサンプル請求の条件になっているケース等が具体的に想定されている。
 同項目では、サプリメントECの具体例を二つ取り上げ、消契法第10条によって無効になるケース・無効にならないケースをそれぞれ解説している。6月3日施行の改正消契法第10条では、(1)消費者の不作為をもって新たな消費者契約の申し込みとみなす(2)消費者の利益を一方的に害するーーーという二つの要件をどちらも満たす契約は無効になると定めている。

■準則は事業者の基準

 リピート通販に関する項目が準則に盛り込まれたのは、16年4月に行われたパブリックコメントで、定期購入に対する要望が多く集まったからだという。準則に盛り込まれた事例は、国民生活センターに登録された相談事例を基に作成された。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月8日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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