住宅・リフォーム訪販大手/3月期決算出そろう/人材採用で業績に明暗/定着図る取組み目立つ

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 リフォーム訪販大手の3月期決算が出そろった。増員に成功した企業は減収になり、減員した企業は増収になるという逆転現象がみられた。第4四半期が減収に転じたアサンテや、2期連続減収となった新生ホームサービスは、営業員1人あたりの売上高が減少したことや、コンプライアンスを中心とした研修を徹底したことが減収の要因になったという。オンテックスは営業マンを純減させながらも売上高は7.8%増に。日本eリモデルは、社員数こそほぼ横ばいだったが、社員のスキル向上が増収につながった。

■研修重視から減収に

 「コンプライアンスの徹底」を掲げる企業が増えたこともあり、住宅・リフォーム訪販市場の17年3月期売上高をみると減収企業が目立った。シロアリ防除大手のアサンテは、17年1―3月期(純第4四半期)に減収減益に転落。17年3月期の売上高は、前期比4.4%増の138億5200万円にとどまった。17年3月期は採用が好調に進み前期比8%程度の増収を記録していたが、新人比率が高まったことなどから、閑散期(1~3月)の売り上げが減少した。
 同社は純第4四半期の業績について、「新人を中心に、コンプライアンスなどの研修を徹底した結果、稼働日数が少なくなった」(経営企画室)と説明している。シロアリ防除を主力サービスにする同社にとって冬季は閑散期にあたる。冬季の商材である耐震工事サービスの販売には高い提案力が必要となり、高い新人比率がネックとなった。春からの繁忙期に向けて、冬季に研修を集中させたことも減収の一因となったようだ。
 ただ、「一人当たり売上高は上がってきている」(同)ため、18年3月期は再び増収に転じる見通しだ。シロアリの活動が活発になる5月からは再びテレビCMなどの広告を強化して販売の拡大を図っていく。
 15年3月期まで2桁成長を続けてきた新生ホームサービス(本社兵庫県、吉都紀太介社長)も、16年3月期から2年連続の減収となり、17年3月期の売上高は71億円となった。減収の要因として同社では、熊本地震が原因で、工事が遅れて売り上げが18年3月期に持ち越されたケースがあったほか、新卒重視の採用を推進したことを挙げている。
 「コンプライアンスを重視した経営を行うため、新卒中心の採用を行っている。他社出身者を中途で採用するよりも『真っさら』な状態で教育すべきだと考えている」(営業管理グループ営業管理チーム・武藤友章課長)と、採用の方針を説明する。
 同社の全社員のうち、新卒採用者が半数を占める。新卒の戦力化に時間がかかり2期連続の減収となった。ただ、一人当たり売上高には上昇傾向が見られており、18年3月期は増収の見通しだという。新規営業所の開設も、今期は1~2件を予定している。
 同社の採用は順調に進み、前期比で約1割増の459人になった。移転した大阪支店に研修室を開設するなど、教育の徹底に向け取り組んでいる。女性営業の意見を受けて、日焼けしない制服や運びやすいバッグを用意するなど、定着率の向上に向けた細かな取り組みも着実に進めている。

■相見積もりが課題に

 採用が順調な企業に減収傾向がみられる一方で、従業員数が純減したオンテックス(本社大阪府、樋口一社長)の17年3月期の売上高は、前期比7.8%増の112億円だった。温浴事業など、訪販以外の事業の好調が増収要因となった。訪販事業の売上高は横ばいだったが、一人当たり売上高が増加したことから、利益率には大きな改善が見られたという。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月8日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ