16年度消費者相談分析/「若者×マルチ」の相談増える/実態は投資ビジネスがSNSで拡散か?

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 本紙はこのほど、(独)国民生活センター(国セン)の消費生活相談データベース(PIO―NET、パイオネット)の情報(5月29日現在)を集計、16年度(16年4月~17年3月)の消費者相談の傾向と状況について分析し、結果をまとめた。「マルチ取引」に関する相談件数は、全年齢でみると微減だったが、「20歳未満」や「20代」の若年層に限定すると昨年度よりも増加した。「内職・副業・ねずみ講」を商材とした相談が急増したことが原因だ。特商法の適用対象ではない「ねずみ講」や、法人格すら持たないような詐欺被害まで「マルチ取引」としてひとまとめにして集計を行うことに対して、業界からは疑問の声も上がっている。

■健食・化粧品は相談減

 「マルチ取引」に関する相談件数は前年度比0.1%減の1万1323件で、ほぼ横ばいだった。「マルチ取引」の相談を商品別に見ると、「健康食品」が同11.2%減、「化粧品」も同8.1%減となっており、ネットワークビジネス(NB)の主要な商材では、相談件数が減少する傾向が見られた。
 そんな中、「マルチ取引」全体の相談件数が横ばいになったのは、「内職・副業・ねずみ講(以下情報商材)」という商品カテゴリーの相談が増加したことが原因だ。同カテゴリーの相談件数は同7.3%増の1423件となり、「化粧品」カテゴリーの相談件数を57件上回った。
 国センの担当者は、「『お金儲けの方法』に関する情報商材の投資ビジネスが、学生を中心にSNSで広がっている」(相談情報課相談第二課・小池輝明主事)と解説する。「法人ですらないような、得体のしれない『ビジネス』も、海外から入ってきている」(同)と話す。

■実態見えぬ区分に苦言

 パイオネットの相談件数の増減は、特商法など業界関連法規の改正の議論において、参考とされることも多い。「マルチ取引」の相談件数が減っていないことを理由に、特商法の連鎖販売取引(NB)に関する規制が強化される可能性もある。ただ、詐欺まがいの情報商材の相談が大きな割合を占める「マルチ取引」の相談件数は、はたして特商法の規制する「連鎖販売取引」の実態を反映しているといえるだろうか。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月1日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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